躍進の陰に25歳の若きヘッドコーチ 今季前半の低迷から昇格まであと一歩と迫ったガイナーレ鳥取 「3年以内くらいには(J2昇格を)約束します」 鳥取県
12月2日に最終戦を終えたサッカーJ3のガイナーレ鳥取。苦戦の続いたシーズン前半とは打って変わって、終盤にはJ2昇格までもう一歩に迫る活躍を見せました。
躍進の陰には、25歳のヘッドコーチの姿がありました。
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鳥取 塚野真樹社長
「(今シーズンの)スローガンは、Beyondにいたします。きのうよりきょう、きょうよりもあした、自分たちを越えていく」
新たなスローガンと共に開幕した2023年シーズン。ガイナーレは、J2昇格を目標に、2連勝で走り出しました。しかし、第3節以降、勝利は遠のき、成績は低迷していきます。
そして今年6月20日。金鍾成(キン・ジョンソン)監督のシーズン途中での解雇が発表されました。14試合を終えた時点で、失点数はリーグワースト2位。さらにホーム戦では一勝もできず、順位も20チーム中18位。J2昇格どころか、J3残留も厳しい状況になっていました。
こうしたなか、チームの立て直しを託されたのが、増本浩平監督でした。
ガイナーレ鳥取 増本浩平 監督
「攻撃に矢印をこう強く向けていすぎて、やっぱり守備のところがおろそかになったりとかっていうところがあったので」
新体制の下、ガイナーレは攻撃重視の戦い方を見直し、守りの充実で失点数を減らす方針へと転換。シーズン後半には、J2昇格争いに食い込むまでの巻き返しを見せました。
この躍進を陰で支えていたのが、25歳の若きヘッドコーチ・小谷野拓夢さんです。
ガイナーレ鳥取 小谷野拓夢 ヘッドコーチ
「クラブからお願いされたのは、とにかく降格争いを脱出しろってそのミッションだけでした。そのために入ってくれというミッションだったので」
高校生の頃にはサッカー指導者を志していたという小谷野さん。きっかけは海外遠征だったといいます。
ガイナーレ 鳥取小谷野拓夢 ヘッドコーチ
「スペインにサッカーの試合をしに行く遠征があって、肌感覚で差を感じたんですよ。試合をした選手たちは、トップ選手なので当たり前に選手としての差も感じたし、それ以上に例えばグラウンドがその地域だけで十何面あるとか、試合になったらお祭り騒ぎで何時間も前に集まって応援合戦をやってたりとか」
地域に溶けこむサッカーを目の当たりにした小谷野さん。大学に入ってからも選手として活動していましたが、3年生の夏、選手を引退し日本のサッカー界を盛り上げるべく指導者としての道を歩み始めました。大学卒業後は、広島県福山市で「新卒監督」としてJリーグ加盟を目指す福山シティFCを率い、天皇杯の準々決勝に進むなど、大きな成果を残しました。そして去年、契約満了となり強化育成部長としてガイナーレへ。
ガイナーレ鳥取 小谷野拓夢 ヘッドコーチ
「面白そうだなと思ったのが一番大きかったと思います。まず僕の経験で、当時25歳の自分に対して強化部長という、責任を任せようというアイディアが一番面白かったです。突拍子もないオファーだったので正直」
今年6月からはヘッドコーチに就任し、増本監督の右腕として、チームを支えました。対戦相手の分析に力を入れたり、トレーニングのやり方を見直したりするなかで、チームの雰囲気が変わっていったといいます。
ガイナーレ鳥取 小谷野拓夢 ヘッドコーチ
「見ていて会話は増えたのかなと思います。チーム内でのサッカーに対する会話、どういう風にプレーしようかという会話は増えたのかなと思います」
12月2日、今シーズンの最終戦を終えたガイナーレ鳥取。最終順位は6位、成績は14勝14分け10敗で、勝ち点は56。最終戦を勝利で飾ることはできませんでしたが、ガイナーレが今シーズンに見せた成長は来季の飛躍を感じさせるものでした。
ガイナーレ鳥取 小谷野拓夢 ヘッドコーチ
「J2に復帰するんだと言い続けて、成し遂げられてないっていうところでいくと、どんどん本気度や熱っていうのが、人間なので冷めてきてしまうと思うんですけど、そこをもう1回、本気度を取り戻したりとか、情熱を取り戻すことが(J2昇格には)大事かなと思います」
Q.J2復帰はできそうですか?
「3年以内くらいには(J2昇格を)約束します」
2024年、ガイナーレは指導陣の若返りを図り、再びJ2昇格へ挑むことになります。