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【特集】季節ハタハタ 禁漁明け以降最少か…漁師「そう簡単には諦められない」県魚ハタハタと漁師のいま

2024年12月25日 19:07
【特集】季節ハタハタ 禁漁明け以降最少か…漁師「そう簡単には諦められない」県魚ハタハタと漁師のいま

多くの漁港では、例年、12月25日前後に、季節ハタハタの漁を終えます。

今シーズンは漁獲量が低迷していて、1995年の禁漁明け以降、最も少なくなる可能性があります。

漁師たちはどう感じているのか。

かつて季節ハタハタ漁で栄えた男鹿市北浦地区の漁師を追いました。

25日朝早く、男鹿市北浦にある相川漁港に漁師たちが集まり始めました。

西方強さん
「ゆうべも(網を)起こしにいった。それなりに感触がちょっとあったから、朝は期待していくつもりだ」

この地区の漁師の代表のひとり、西方強さん。

この先はしけが見込まれるため、25日で今季の季節ハタハタ漁を終えようと考えています。

“最後の漁”に臨む漁師たち。

その姿を追いました。

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江戸時代以前から行われているという季節ハタハタ漁は、1960年代後半に漁獲量の最盛期を迎えます。

本場・北浦地区では、大漁の日には季節ハタハタを入れる箱が足りなくなるほどだったといいます。

しかし、その後、漁獲量は減少の一途をたどり、1992年から、資源保護のため、3年間の禁漁期間が設けられました。

1995年に禁漁が明けてからは増加に転じたものの、2010年ごろから再び減少傾向にあります。

県水産振興センター 松井祟人さん
「前回の禁漁した頃のその前にも一度少なかった時があるという話もありますので、そういった定期的に増減する魚ではあると。いま、減少のやっぱり一番低いところの水準っていうのがほとんど獲れないっていう当時からそういった時期とほぼほぼ同じ時期になってきているんだろうなと」

30年から40年の周期で漁獲量が大きく増減するという季節ハタハタ。

不漁となっている要因には、海水温の高さも挙げられます。

気象庁によりますと、12月中旬の県沿岸の海水温は約15度で、平年よりも1度ほど高くなっています。

この影響で、産卵のためハタハタが接岸しようにも近づけず、わずかながらふ化したハタハタの稚魚の生育にも悪影響を及ぼしている可能性が指摘されています。

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漁師にとって大きな向かい風が吹く中で迎えた、今シーズンの季節ハタハタ漁。

それでも、北浦地区の漁師たちは、期待を胸に、厳冬の海へと舵を切ります。

季節ハタハタが接岸しているかどうか確かめるため、漁師たちは今月1日から共同で網を仕掛けています。

船は30分ほどで港に戻ってきました。

これまで数匹しか網にかからなかった季節ハタハタ。

取材した日は、今シーズンこれまでで最も多い4キロの水揚げです。

手ごたえを感じた漁師たちは、さらに多くの水揚げを期待して、翌日も網を揚げました。

例年、この時季であれば、季節ハタハタの群れ、“本隊”がいつ接岸してもおかしくありません。

しかし、網にかかっていたのは10匹ほどでした。

この日の北浦地区での水揚げは、前日の約半分。

2日分がまとめて競りにかけられ、禁漁明け以降、最も遅い初漁日となりました。

北浦地区の漁師の代表たちは、共同ではなく、それぞれが船を出す一斉操業を行うかどうか話し合いました。

「(ハタハタが)来るまで共同でやる」
「とれたらみんなしてとって、それから(それぞれで)スタートすればいいでね」
「日にちねぇで、あど」
「日にちねぇって言ったって、ねぇものはねぇんだって」

話し合いの結果、一斉操業ではなく、引き続き共同で網を仕掛けて様子を見ることにしました。

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水戸谷卓 記者
「秋田市のこちらの市場では、おとといとれたハタハタが店頭に並びました」

ようやく市場に並んだものの、水揚げの少なさから、価格は、2キロで3万6000円でした。


「とてもとても、3万いくらですよ、あれで」
「やっぱりもうとれないんだなと」
「悲しいっちゅうか寂しいっちゅうかね、そういう気持ちになるね」

安亀商店 安田昭夫 店長
「もう8割以上の人が県産のハタハタを目的に来てるわけですよ。聞いてくるのは全部どこ産どこ産って感じなの」
「いくらでもいいかっていうとそこはちょっとね、でもやっぱり並べたいなと思って仕入れました」

私たちの食卓から遠い存在となりつつある、県魚ハタハタ。

北浦地区では、初漁日以降、まとまった水揚げがほとんどありません。

西方強さん
「昔からここはほら、ハタハタで栄えてきたところだから、ハタハタ漁が終わって正月を迎えるっていう、ずっとこれやってきたもんなんだもの」
「だからそう簡単には諦められないという。こればっかりはな、ちょっと譲られないところあるんだもの」

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25日朝、船は1時間ほど経って戻ってきました。

船には、ハタハタが入った箱がいくつも積みあがっていました。

北浦地区では、24日夜から25日朝にかけて、550キロあまりのまとまった水揚げがありました。

西方さん
「全然だめ、全然話にならない」

今シーズン一番の水揚げですが、例年のこの時季と比べれば圧倒的な少なさです。

県全体の季節ハタハタの漁獲量はきょうまでで約1.5トンで、昨シーズンの93トンを大きく下回り、禁漁明け以降、最も少なくなる可能性があります。

漁師たちに厳しい現実が突きつけられています。

記者
「この先も西方さんは続けていくっすか」
西方さん
「続ける続ける。もちろん。最後まで。そのつもりだ。どれだけ気持ちがもつかだな、分からないけれども」

生涯現役を掲げるものの、記録的な不漁に肩を落とす西方さん。

またいつか港が大漁に沸く日が来ることを信じながら、今季のハタハタ漁を終え、年末を迎えようとしています。

最終更新日:2024年12月25日 19:07
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