絶景!残雪の鳥海山にぎわう
秋田と山形に位置する鳥海山には、この季節、全国から多くの観光客が詰めかけています。
その目的は、いまの時季だけ楽しめるアクティビティと、絶景です。
秋田市方向から日本海東北自動車道を南に進むと現れるのが、標高2236メートル、秋田と山形に位置する鳥海山です。
山頂を目指す登山ルートは秋田側で4つ。
その1つが、先週金曜日に山開きした由利本荘市の矢島口です。
この冬、記録的に雪が少なかった県内。
それでも道路脇には約3メートルの高さまで雪が残ります。
標高約1200メートルの場所にある駐車場は、登山客の車であふれかえっていました。
そのほとんどが県外ナンバーです。
多くの登山客が楽しみにしているのが、手つかずの自然の中を滑るバックカントリースキーです。
高低差約1キロ、山頂まで約5キロの道のりを進みます。
木々もまだ雪に埋もれた斜面。
登山道も雪に覆われているため、雪渓の上を歩きながら、ほぼまっすぐに頂上を目指すことができます。
上着なしでも快適な、雲ひとつない穏やかな天気の中でも、緩んだ雪と急な斜面が登山客の体力を奪っていきます。
登ることおよそ4時間、ようやく頂上にたどり着きました。
県内の広い範囲に黄砂が飛来したこの日、秋田市から見た鳥海山はかすんで見えにくい状態に。
見通しが良ければ白神山地も望めますが、残念ながら麓の由利本荘市やにかほ市の景色が見える程度でした。
それでも、登山客は頂上にたどり着いた充実感でいっぱいです。
気温の上昇で、スキーにはあいにくのコンディションでしたが、ソリで山を下る人の姿も。
鳥海山は、巨大な滑り台に様変わり。
自分の足で山頂を極めた人だけが楽しめる、何とも贅沢なアクティビティです。
でも、絶対に忘れていけないのが安全対策です。
矢島口のすぐ近くには、雪渓にできた深い割れ目、クレバスができていました。
2年前には、山形の男性が鳥海山で深さ8メートルのクレバスに転落し、命を落としました。
遠回りになっても、危険な場所は避けることが重要です。
また、2年前のゴールデンウィークに撮影された鳥海山の山頂付近の映像では、吹雪で辺り一面が真っ白になるホワイトアウトが発生していました。
天候が急変すると帰り道が分からなくなるなど、遭難の恐れがあります。
自己責任と安全対策が求められる、大自然でのアクティビティ。
それでも多くの人を惹きつけてやまないのが霊峰・鳥海山です。