交付金の減少や物価高の中厳しさを増す学校運営「授業料引き上げず財政再建」秋田大学 南谷学長 巷間話題の野球場のあり方については「学生からの意見も参考に方向性を決めたい」
光熱費や物価高の影響で、全国の大学では、授業料の引き上げを検討する動きがあり、日本の大学の最高峰=東京大学では、20年ぶりに授業料を引き上げることが、先月、正式に決まりました。
こうした動きが全国に波及するかどうか、関心が高まりそうですが、秋田大学の南谷佳弘学長は31日、現時点で、授業料を引き上げる考えはないと明らかにしました。ただ、経営するうえで欠かせない、国からの交付金は減少していると明かし、抜本的な財政再建策に取り組む考えです。
今年度から新たに秋田大学のトップを務める南谷学長は、自身の任期中、研究分野や大学経営で重点的に取り組む内容を説明しました。
南谷佳弘学長
「国からきている運営交付金というのが年々削減されております。それから、授業料に関してはこの20年ですね、一部の大学では若干値上げしましたけれども、値上がりしない状況です」
南谷学長は、収入の4分の1を占める国からの運営費交付金が年々減少していると説明し、光熱費や物価の高騰もあって、経営は今後厳しさを増すとの見通しを示しました。ただ、南谷学長は、授業料の値上げはしない考えです。
南谷佳弘学長
「東北地区の国立大学の学長が集まる会があるんですけども、そこの先生方一致して、東北地区は値上げは難しいよなということで、私もそれに賛同するところがあります」
大学の研究成果によって、運営費交付金の額が変わるため、資源や、再生可能エネルギーの分野など、独自性がある研究で成果を上げ、交付金の増額を目指します。
秋田大学・尾野恭一理事
「研究力がアップするというのは、先ほどあった国の運営費交付金というのも私たちすべて丸々くるわけではなくて、いくつかの割合は国に預けて、大学の出来によって、業績によってまた再分配されるんです。研究にかなり力を入れていかないといけないというのは確かだと思います。運営費交付金を増やすために。それから外部資金を増やすために」
大学内部での財政再建も進めるため、組織改革や業務の効率化を進めますが、施設整備のあり方についても、見直しを進める方針です。
施設の整備方針の中には、老朽化している、大学内の野球場のあり方も含まれています。
南谷佳弘学長
「野球場を直すのに2億3千万円ほどお金がかかると試算されておりまして、そのお金をどう捻出するか…なかなかお金を、今の状況では出せないので」「一番人が集まって、一番人が使ってるところにお金をかけるってのは当たり前ですよね、その順番からいくと、野球場の順番が下位の方にくるので、今手をつけて直すのは難しい」
大学は、野球場を取り壊すことも検討していますが、一部の学生が大学側の方針に反対していることから、今後学生側と話し合ったうえで結論を出す考えです。
南谷佳弘学長
「学生のお話はちゃんと聞きます。真摯に聞きます。学生にも大学の置かれている状況、財政的なこと、きちっとすべてお見せします。そして授業料も上げないように頑張ります。そういったところで、本当にこれができるのか、あるいはどうしたらいいのかというのを私たちだけで決めるのではなくですね、学生からの意見も参考にしながら、方向性を決めていきたいと思います。取り壊しありきではないんですね」
大学はこのほか、所有する土地を外部に貸し出すなどして、資金を確保することも検討しています。