木製の“公道も走れる車”作っちゃった! 元トヨタ社員が費用わずか数万円で電気自動車を自作 デザインは憧れの「ヨタハチ」をイメージ 愛知・豊田市
細かい部分まですべて木で作られたトヨタの初代カローラに魅了され、「どうせだったら走れる車にしちゃえ!」と動き出した人がいました。たった1人で1年以上かけて作った車とは、一体どんなものなのでしょうか…?
失敗を繰り返しながら完成させた手作り電気自動車
庭にあるブルーシートをめくると出てきたのは、加藤さんがすべて1人で作ったという電気自動車。ボディは木製で、ウインカーやヘッドライトもちゃんとついています。ハンドルは中央にあって、シートは1つだけの1人乗り仕様。ナンバープレートも付いていて、公道も走れるのです。
トヨタ自動車で長年働いていた加藤さん。もちろん車は大好きですが、いざ作るとなると失敗の連続。作っては壊し作っては壊しの繰り返しで大変だったと、当時を振り返ります。
車を作るにあたってベースにしたのは市販の電気自動車。友人から廃車を譲り受け、タイヤやバッテリー、ハンドル、ヘッドライトなどのパーツはすべて流用しました。木は高校の同級生の製材所から間伐材のヒノキを大量にもらい、購入したのはネジや接着剤などの備品のみ。費用わずか数万円で車を作ったのです。
加藤智明さん(77):
「1枚1枚の板を接着しながらやりました。作っていく途中で(木が)伸びたり縮んだりするから、隙間がそこらじゅうに出始めたり、型を削ったり薄い木を曲げたりとか、そういうところが非常に苦労しましたね」
デザインの参考にしたのは、加藤さんが若いころに夢中になった「トヨタスポーツ800」というスポーツカーです。トヨタスポーツ800は、1960年代に製造された、通称「ヨタハチ」と呼ばれる小型スポーツカー。かわいいデザインが今でも人気を集めています。
加藤智明さん(77):
「トヨタスポーツ800をまねしたいなと、ずっと考えていた。正面を似た作りにしないと、やっぱり駄目かなと思って。(トヨタスポーツ800は)あこがれですよ。スポーツカーですから、その当時の。欲しいなということで、一生懸命にお金をためて(中古で)買いました」
加藤さんが木製の電気自動車を作り始めたきっかけは、豊田市の公益財団法人「あすて」で見た木製の「初代カローラ」。初代カローラ登場50年と公益財団法人50周年を記念して製作されたその木製の車は、1966年に登場した初代カローラをそっくりそのまま再現していましたが、加藤さんが見たときは、動かすことはできなかったといいます。※現在は水素を動力に活用するなどして改修中。
そこで加藤さんは「動かないんだったら自分で動く車を作りたいな」と思い、2023年5月から製作を開始。暇さえあれば集めたパーツをコツコツと組み立て、約1年3か月かけて完成させたのです。
この電気自動車で取り組みたいことがあるそうで…。
加藤智明さん(77):
「子どもたちが車を見て、物事の発想やひらめきを大事にしてほしい。2つめは、豊田は車を作っている所だから、交通安全に何か寄与できないかなと」
11月に豊田市内で行われるイベントに参加するため、今は整備と走行チェックを繰り返しています。
1人で電気自動車を作り上げた加藤さんの野望は、まだまだ続きます!