校長人事はカネで決まっていたのか…? 幹部1人で200万円以上の現金を受け取り【名古屋市教委幹部・金品授受問題】
名古屋市の教育委員会が校長の推薦名簿とともに金品を受け取っていた問題で、1人の幹部職員に200万円以上の現金が渡っていたことが新たに分かりました。校長の人選は正しく行われていたのか。疑惑はますます深まっています。
1人の幹部に200万円以上の現金が渡る 「人事には影響していない」などと説明
事の発端は2月11日。名古屋市教育委員会で教員の人事などを担当する「教職員課」が、教員団体から小中学校の校長などを推薦する教員名簿とともに、現金や商品券を受け取っていたというのです。受け取った金額は毎年200万円を超えるとみられ、飲食費などに使ったということです。
こうした中、19日、教育委員会の1人の幹部に対し、2018年から複数回にわたり合計200万円以上の現金が渡されていたことが判明しました。この幹部は聞き取りに対し「会合費に充てたが人事には影響していない」などと説明したということです。
名古屋市の河村市長は、19日に行われた会見で「ヒアリングでは30年前からあり、その時は商品券だった」と述べた上で、このように述べました。
名古屋市 河村たかし市長:
「現金を贈るということは、これは”賄賂”。犯罪構成要件の刑法の条文にぴったり合うんじゃないですか? 商品券もいかんですけど、そういう差し入れみたいなのがいつから現金になったんだと。誰もそれに『ちょっとまずいんじゃないか』と言わなかったのはなぜなのかと」
「校長人事はカネで決まっていたのか」と疑われる今回の問題。河村市長は、市の職務倫理規定に違反する疑いもあるとして、今後、大学教授や弁護士など専門家からなる調査研究チームで本格的に調査する方針です。
現金を受けとった幹部は「学校づくり推進監」 教員の人事案を承認するポスト
1人の幹部に200万円以上の現金が渡っていたという、驚きの事実が明らかになりましたが、中京テレビは、この幹部本人に取材することができました。
幹部は取材に対し「報道で問題視されている金品が、どの帳簿のものを指しているかも分からない。今後調査には誠実に対応していきたい」とコメントしました。
この幹部は、人事部門のトップ3に入る人物で、60代の男性。元々は中学校の教員でしたが、現在は「学校づくり推進監」というポストに就いています。「学校づくり推進監」とは、今回お金が集まっていた教職員課を含む教務部を所管する役職で、上には教育長と教育次長しかいません。
この人物は教職員課長経験もあり、別の役職を経て、昨年度に新設された「学校づくり推進監」に就任。校長人事においては最終承認者ではないものの、教員の人事案を承認する立場にあります。毎年、数十万円受け取っていたということですが、本人は「人事には影響していない」と話しています。
市役所には、保護者や市民から「金品と名簿を一緒に受け取ると疑わしい。改めるべきだ」「どうなっているんだ!」などという電話もきていて、市民から見ると賄賂ではないかと受け止められても仕方がない状況です。
19日の河村市長の会見では、30年前にはすでに慣習があったという話も出ており、まだ氷山の一角という可能性もあります。市は、今週中にも第三者による調査検証チームを立ち上げ、調査を進めていくとしています。