「寒ブリ」大漁の裏で… 国は"漁獲枠"設ける方針 漁業者から戸惑いの声 4月から漁獲量の報告義務付け
今シーズン「寒ブリ」が歴史的な豊漁となっている県内。しかし、国は将来的な資源保護のため、ズワイガニなどと同じくブリにも漁獲枠を設ける方針を示し、漁業者からは戸惑いの声が上がっています。
肉厚で脂の乗った刺し身に、甘辛く煮つけたブリ大根。白いご飯が見えないぐらい刺し身を敷き詰めたブリ丼。
美浜町の飲食店・かつみやでは、冬の味覚「寒ブリ」料理が人気です。
■リポート 櫻井幹大記者
「しょうゆをつけていただきます。脂が乗っていて、でもそんなにくどくはなく。非常に上品でさっぱりとした味わいです」
■かつみや 山瀬亜由美さん
「たくさんのブリが獲れたけど、ほとんどのブリが大阪や東京に出荷されているみたいで・地元のものを地元で食べていただきたいと思い、独自のルートで(仕入れて)提供している」
寒ブリの水揚げで県内随一を誇る美浜町の日向漁港。
ここでは、1日に500匹獲れれば大漁とされていますが、この日もその4倍のおよそ2000匹の水揚げが。
■漁師
「大漁!大漁!大漁!わはははは」
ここ20年で全国的に増加傾向にあるブリの資源量。12月1か月間の県内での寒ブリの漁獲量は2020年に90トンと過去最多を記録すると、去年は前の年の3倍に迫る702トンの水揚げが。今シーズンは寒ブリの歴史的な豊漁となりました。
■日向漁業組合 髙橋武一組合長
「そりゃもう、活気がすごい。みんな屋上に大漁旗を掲げて、みんな大漁、大漁と言って喜んでいる」
一方で、豊漁に沸く漁業者にとって心配な動きも。国が資源保護のため、ブリの水揚げ量に制限を設ける「漁獲枠」を設ける方針を示しました。
水産庁が示した全国でのブリの漁獲枠は年間10万1000トン。直近2022年の漁獲量は9万3000トンと漁獲枠を下回っているため、影響は当面限定的とみられますが、漁業者からは戸惑いの声が。
■日向定置網組合 髙橋武一組合長
「いま豊漁の時になんで規制をしないといけないのかと疑問を抱く。収入源の9割がブリの水揚げになっている。これをやられたら、うちの組合ははっきり言って破綻する。各組合の現状をちゃんと調べて欲しい」
一方、県の担当者は現場の実態を把握しながら、段階的に導入していきたいと理解を求めています。
■県水産課 頼本華子参事
「まずは漁獲の実態や関係者の意見そういったものを踏まえて、課題解決を図りながら順次導入をしていく。(始めは)枠の方も都道府県の具体的な配分は設定しないで、まず漁獲量がどのぐらいあるかっていう事を把握する」
なお、水産庁は2月中旬にブリの漁獲枠の設定を正式に決定する見通しで、県は4月から漁業者に対し、ブリの漁獲量の報告を義務付けていくとしています。