補助金申請を怠る 県が“自腹”、2件で7億6000万円か 養殖施設整備や漁港修繕の費用 福井県農林水産部
県が小浜市に整備したマハタの養殖施設を巡って、本来国から受け取れるはずだった3億円の補助金の申請を怠っていたことが明らかになりました。この事実は公表されないまま、県がいわば“自腹を切る”形で施設が整備されました。
■県農林水産部 稲葉明人部長
「反省しております。誠に申し訳ありませんでした」
上品な味わいが人気で、県がブランド化を進める高級魚マハタ。小浜市に整備されたマハタの稚魚を卵から育てる施設を巡り、本来受け取れるはずだった国からの3億円の補助金を、県が手続きを怠り、受け取れなかったことが明らかになりました。
一般的に補助金に関する手続きは、国に「申請」し、「交付決定」を受けた後、県が費用を立て替える形で事業を行い、事業費を国へ「請求」して、ようやく国から「交付」されます。
しかし、今回のケースでは、最初のステップである「申請」を怠っていました。こうした事実は県民に知らされることなく、県がいわば“自腹を切る”形で、2020年に施設が完成しました。
これに対し、1日に開かれた県議会では、議員から厳しい声が上がりました。
■議員
「公金を扱う緊張感が欠如していた(のではないか)。隠ぺい、隠ぺいの中で物事が進んでいたのであれば、それはただしていかないと」
■議員
「公開基準とか、そんなことうんぬんよりも、県の不信感を県民に対して抱かせる」
県によると、担当職員は手続き業務が初めてだったということですが、そのサポートを怠った組織としての責任も免れません。県では、再発防止に努めるとしています。
問題はこのケース以外にも。昨年度行われた越前漁港や小浜漁港などの修繕工事などに関する補助金およそ4億6000万円についても、今年4月末が期限だったにも関わらず、県が国への請求を怠ったため、交付されない恐れが出てきています。
2つのケースを合わせると、受け取る予定だった補助金は7億6000万円。税金という意味では、県の予算も国の補助金も同じかも知れませんが、県の財布の中身や使い道を県民に知らせる必要はないのか。県の説明責任が問われます。