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【核のごみ最終処分場】「文献調査」受け入れの議会の結論は持ち越し 町長「採決が出れば私が判断」佐賀・玄海町  

2024年4月17日 18:20
【核のごみ最終処分場】「文献調査」受け入れの議会の結論は持ち越し 町長「採決が出れば私が判断」佐賀・玄海町  
議会の議論は持ち越し

原発から出るいわゆる“核のごみ”の処分場選定をめぐって、佐賀県の玄海町が揺れています。町の議会は17日、特別委員会を開き、文献調査の受け入れを求める請願書について審査を始めました。

■阿部まみフィールドキャスター
「玄海町役場ではこれから特別委員会が開かれます。傍聴席にはメディア関係者や一般の方も多くいます。」

玄海町議会で開かれた原子力対策特別委員会で話し合われたのは、原発で使った核燃料を再処理する 過程で出る「核のごみ」の処分場についてです。

国内ですでに1.9万トン以上たまっていて、国は地下深くに埋める計画です。

この「核のごみ」の最終処分場の建設をめぐって、選定の第1段階となる「文献調査」を受け入れるよう求める請願書が地元の3つの団体から玄海町議会に提出されました。

17日からその請願を採択するかどうかを議論する審査が始まりました。

文献調査については、2020年に北海道の寿都町(すっつちょう)と神恵内村(かもえないむら)が同意、去年は長崎県対馬市で最終的には応募しなかったものの、議論が行われました。

今回、原発を持つ自治体としては全国で初めての動きです。

■阿部フィールドキャスター
「奥には原発が見え、手前には民家が広がっています。玄海原発を抱える町の人はどのように感じているのでしょうか。」

■町民
「反対です。いまさらそういう施設は持ってこなくてもいいんじゃないかな。」

一方、「文献調査」を受け入れれば最大20億円が国から交付されることもあり、その恩恵を期待する声もあります。

■町民
「玄海町は原発がなければ寂れてしまっている。科学的に(放射性物質が)出ないということを前提にしなけらばならない。被害がなければいい。」
「よその人も困るから、原発のあるところに造ったほうがと思います。」

17日の委員会では、資源エネルギー庁と、最終処分事業を担うNUMO=原子力発電環境整備機構の職員などが参考人として招致されましたが、請願に関する深い議論は行われず、来週以降に持ち越されました。

最終的に文献調査の受け入れを判断するのは、玄海町の脇山町長です。

■玄海町・脇山伸太郎町長
「地元の3団体から文献調査をしてくださいという請願が出て、住民のそういった意見は重く受け止めています。議会の判断、採決が出れば、私が判断しなくてはならない時がくると思っています。それまでは皆さんの議論を注視するしかありませんので。」

地元、玄海町だけではなく、日本のエネルギー問題に一石を投じる今回の動き。今後の議論の行方に注目です。

“核のごみ”の最終処分場が選ばれる手続きの流れを確認します。

建設地が決まるまでには3つの調査が必要です。

第1段階はデータなどの資料を元に調べる「文献調査」。

第2段階はボーリングで地質などを調べる「概要調査」。

そして、第3段階が地下施設をつくり調べる「精密調査」です。

それぞれ、2年程度、4年程度、精密調査に関しては14年程度かかります。また、調査に入ると、文献調査は最大20億円、概要調査は最大70億円が国から交付されます。

それぞれの段階に入るには、それぞれ、自治体トップの判断が必要です。「概要調査」以降は、市町村長と知事の同意がないと先に進むことはできません。玄海町は今、この第1段階の「文献調査」を受け入れるかどうかを議論しています。

地元の団体から文献調査の受け入れを求める請願が出されたため、町議会の委員会で17日から議論が始まりました。この委員会で採択され、さらに本会議でも採択されたら、町長が最終的に判断します。

知事の意見は「文献調査」の段階では必要ありません。ただ、佐賀県の山口知事は16日、「新たな負担については受け入れる考えはない」と話し、処分場の誘致に反対の立場を明らかにしました。