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カブトムシを使った実証試験でコバエが大量発生 近隣の住宅に侵入 九州大学農学研究院

2024年4月16日 15:00
カブトムシを使った実証試験でコバエが大量発生 近隣の住宅に侵入 九州大学農学研究院
カブトムシを使った実証試験中だった(九州大学提供)

九州大学農学研究院が福岡県嘉麻市で実施していたカブトムシを活用した実証試験で、コバエが大量に発生し近隣の住宅に侵入しました。九州大学が16日、発表しました。

九州大学によりますと、農学研究院は福岡県嘉麻市の廃校になった小学校で、カブトムシを活用して家畜用の飼料を生産する実証試験を行っていましたが、去年12月末、およそ500個のカブトムシの飼育容器のうちの1つ(廃菌床に焼酎かすを添加したもの)から大量のコバエ(クロバネキノコバエ)が発生しました。

コバエが発生した土をポリ袋に移し密閉しましたが、ことし1月末、さらにコバエが目立つようになったため捕獲器60個を設置しました。

その後もコバエは増え続け、3月中旬、大型の粘着シートを導入しましたが、近隣の住宅にコバエが多数侵入していると嘉麻市から連絡を受けたため、施設内に殺虫剤を噴霧し、ほぼすべてのコバエを駆除したということです。

大量発生の原因について、初期の対応が不十分で、カブトムシへの影響を懸念して効果の高い殺虫剤を使用していなかったためとしています。

4月上旬、近隣住民に謝罪文を渡し、今後発生した時のための殺虫剤を配布したということです。

その後、施設内でコバエはほとんど発生しておらず、飼育に使った土は専門の業者が廃棄し、カブトムシの幼虫はすべて伊都キャンパスの密閉された植物圃場(ほじょう)施設の管理棟に移したということです。

大量発生したコバエは体長1~6ミリで、日本を含む世界中に分布していて、針などはなく人体に直接の危害は加えないということですが、生態の多くは解明されておらず、大量発生することで「衛生・不快害虫」として扱われているということです。

腐葉土などの土の中や朽ち木を好んで産卵し、4~7日でふ化し、成虫になるまでは20~30日、成虫の期間は1~2週間だということです。