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ふるさと納税 仲介サイトのポイント付与が2025年に禁止… 寄付者や自治体への影響は?【テレビ派・長島カイセツ】

2024年7月17日 15:40
ふるさと納税 仲介サイトのポイント付与が2025年に禁止… 寄付者や自治体への影響は?【テレビ派・長島カイセツ】

広島テレビの長島清隆解説委員が、注目のニュースを分かりやすく分析・説明する「長島カイセツ」です。今回は、ふるさと納税のポイント制度についてお伝えします。

ふるさと納税のポイント付与禁止に、アノ会長が猛反発!

先日、総務省は「ふるさと納税」の仲介サイトが、独自のポイントを付与することを禁止すると発表しました。ポイントは、買い物にも使えることから、楽しみの1つでもありました。

「ふるさと納税」は、寄付者となる私たちが、好きな自治体や返礼品を決めて寄付をします。住民税や所得税から控除と、自己負担2000円で寄付額の3割までの返礼品を受け取ることができます。申し込みの際に、多くの人が「仲介サイト」を利用します。仲介サイトの多くは、寄付額に応じて独自のポイントを付与し、そのポイントは、別の買い物などで使うことができますが、これを2025年10月から禁止するとしています。

禁止することになった理由は、ポイント競争の加熱です。仲介サイトは「期間限定」や「還元祭」と銘打って、最大30%、時には50%のポイントを付けることもあります。一方で自治体は、この仲介サイトに手数料を支払っています。総務省はこの手数料に、ポイントの原資が含まれているはずだとして、ポイントがなくなれば、手数料を下げることができると期待しています。

ポイント禁止ついて、仲介サイトの中には猛反発しているところもあります。楽天の三木谷浩史会長は、自治体からの手数料を、ポイントの原資には当てていないとした上で「プラットフォームが負担しているポイントも禁止とか、意味が不明だ。(Xより)」として、ポイント禁止の反対の署名を呼びかけ、すでに100万を超える署名が集まっているということです。三木谷浩史会長の説明では、手数料をポイントの原資に当てていないのなら、自治体の手数料が下がることもないということになります。ポイントの禁止が、今後どのようにふるさと納税に影響してくるかは、寄付者も自治体もまだ見通せない状況です。

広島県三原市を訪ねました。中央図書館には、三原市の特産品のコーナーが設けられています。これらは全てふるさと納税の返礼品で、およそ800品もあります。三原市に本社がある『八天堂』のスイーツやだるまなど、故郷を代表する品が多くありました。また、ユニークなものでは、中央図書館オリジナルの文具グッズもあります。

三原市は特にここ3年で、ふるさと納税の寄付額が大幅に増え、2023年度は、2億8000万円近くに達しました。寄付額増加の理由について、三原市広報戦略課松井和香子さんに話を聞きました。

■三原市 広報戦略課 松井和香子さん
「大きく2つの要因があると考えています。1つ目が返礼品の数を増やしたこと、2つ目がポータルサイトを増やしたことです。」

三原市にふるさと納税を寄付できる仲介サイトは、9つあります。手数料はかかりますが、仲介サイトの集客力は、寄付額に大きく貢献します。手応えを感じ始めた中でのポイント禁止について、どう受け止めているのでしょうか。

■三原市 広報戦略課 松井和香子さん
「ポイントアップキャンペーンや、イベントの時に寄付が多く入るというのは、これまでにありましたので、ポイントの影響は何らかあるというのは考えています。ただし、それがポイントがなくなったからといって、寄付者が寄付をしないでおこうとか、そういう流れに完全になってしまうということではないと捉えています。」 

一方で、ふるさと納税の使い道も大事になります。三原市ではふるさと納税を、子どもの健やかな成長を応援する事業などに活用しています。例えば「こどもおしごとチャレンジ」という事業では、赤ん坊の人形を使って、助産師の仕事を体験します。他にもカフェの店員など、子どもたちが将来の仕事について考える事業だということです。また「おでかけ児童館」という事業では、まさに児童館が出張し、高校生などが子どもたちのお世話のお手伝いをしたり、触れ合っているそうです。このような子どもの夢を育む事業にも、ふるさと納税が使われています。ふるさと納税が、ポイントも含めて得かどうかだけではなく、各自治体の取り組みや思いにも共感し、ふるさと納税を収めるかどうかを考えることも、大事なことではないでしょうか。