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沖縄に生まれ 沖縄を撮り続けてきた写真家…熊本市現代美術館で展覧会開催中

2024年10月9日 20:45
沖縄に生まれ 沖縄を撮り続けてきた写真家…熊本市現代美術館で展覧会開催中
写真家・石川真生さん

熊本市現代美術館で開催中の展覧会「ライフ2 すべては君の未来」。

「未来へ向かって作品を作り続ける」をテーマに10組のアーティストが参加しています。

今回ご紹介するのは沖縄を撮り続ける写真家、石川真生さんです。
開幕前日、会場に車いすの女性の姿がありました。石川真生さん(71)。沖縄に生まれ、沖縄を撮り続けてきた写真家です。

黒人のアメリカ兵と沖縄の女たち。基地の街のバーで働きながら撮り続けた写真。当時20代前半だった石川真生さんの写真は70年代の日本に衝撃を与えました。

それから半世紀。石川さんが熊本を訪れたのは今回が初めてです。

■石川真生さん
「パッと見たらショーウィンドウちょっとハイカラだったりしてさ、シティじゃんって思ったよ」

Q写真に撮りたいと思われるものありましたか?
「思わない。私は沖縄の写真しか撮らない人だから。しかも沖縄の人間しか撮らない。自分の島を撮る。そのために写真家になったからさ」

石川さんを追ったドキュメンタリー映画が現在全国で公開されています。

「そこには愛があったというのは 本屋さんがつけたタイトルなんだけど、本当にこれなんだよ。ラブ。愛」

被写体の中に入り込みカメラの存在を感じさせないそのスタイルは「全身写真家」とも呼ばれます。

■石川真生さん
「米兵を撮ろうとしてこの世界に入ったのに結局私は女たちに興味を持ったのね。外人バーで働いている女=売春婦みたいな一方的な見方が根強かったのよ。どこで働いてもいいんだ。誰を愛してもいいんだっていう この人たちはすばらしいよ」

モノクロームの写真から伝わる人生の光と影。ここに写った女性たち、子どもたちは今…そんな思いが湧きました。

■石川真生さん
「前からずっと思っているよ。この子たち今どうしてるかなとか、思いはするよ。ただね、だからと言って、じゃあ再び訪ねるとかね、アメリカまで追いかけるとかね、ずっと見続けるとかね、そういうことはしない。それは、彼女たちには彼女たちの人生があるから、私がそこまでやることはない。ほら、白人と黒人と、沖縄の子と。これが沖縄の子どもなんだよね。もう私これ見てから、全部色そろってるなと思ってさ、 面白いと思って、これも金武の町なんだけど写真撮ったわけ。このいちばん左の子は沖縄の子だけれど、お母さんがさ、アメリカの兵隊と結婚して。で、弟が生まれた。生まれたわけだからこの子1人おいていかれたよ。でもその後どうなったかわからないよ。で、それを追究してから、その子供のね、第2の人生をさ、追いかけるとか野暮なことしないよ」

■石川真生さん
「矛盾だらけが人間でしょ。矛盾のない人っていないよ。だから私、すごいキャッチフレーズを作ったんだけどさ。『醜くも美しい人の一生。私は人間が好きだ。』天才。そしていい言葉だなってふっと浮かんだのさ、なんていうの。座右の銘っていうの、あれにしちゃったんだけどさ、本当にそれをさ、しみじみ感じるよ」

■石川真生さん
「撮影ができないんだったら、私、生きててもつまらんから、もう早く死んだ方がいいと思ってる人だからさ、撮れないぐらいだったらよ。でも今はまだまだ体力あるから、撮れるから」

【スタジオ
(東島大デスク)
まだまだ体力があるから写真を撮ると話していましたが、石川さんはこれまでがんの手術を何度もして、映画では人工肛門をつけているところも隠していません。写真家としてジャーナリストとして取材し続けることの凄みを改めて勉強させてもらいました。

石川真生さんの作品が展示される「ライフ2すべては君の未来」は、熊本市現代美術館で12月8日まで開催されます。そして石川さんを追ったドキュメンタリー映画「オキナワより愛を込めて」は熊本市のDenkikanで10日まで公開されています。

最終更新日:2024年10月9日 20:45