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【密着】「あの時の恩を、送る」熊本地震で被災した女性たちが石川県でボランティア

2024年4月17日 19:36
【密着】「あの時の恩を、送る」熊本地震で被災した女性たちが石川県でボランティア
被災した人と炊き出し
8年前の熊本地震8年で避難所や仮設住宅での暮らしを経験した被災者が、能登半島地震の被災地でボランティア活動をしました。あの時受けた支援を、今度は別の被災地へ。「恩を、送る」ボランティアに密着しました。

熊本地震の「前震」から8年の4月14日、益城町で行われた熊本地震を語り継ぐ集会。この集会を主催したのは、自宅が全壊し、仮設住宅での生活を経験した吉村静代さん(74)です。
■吉村静代さんのあいさつ
「今年の1月1日、能登半島の地震、おそらく熊本地震の8年前を思い起こされたと思います」

3月、吉村さんは能登半島地震の被災地へ。
■吉村静代さん
「大丈夫ですよ。これから日がたつにつれて元気になっていくと伝えたい」

災害を経験したからこそ、分かち合いたい思いがありました。

今年1月1日、石川県を襲った能登半島地震。熊本地震と同じ最大震度7を観測し、各地に大きな被害が出ました。地震から約3か月がたった3月末。益城町で熊本地震を経験した吉村静代さんは石川県能登町へ。
■吉村静代さん
「恩返しは出来ないから、恩送り活動。次は私たちがよそに行った時に渡せる部分がある」

炊き出しをするため、熊本から食材を持って駆けつけました。向かったのは能登町にある病院。元日から救急患者を受け入れ続けてきました。支援を受けた熊本から能登へのバトン。用意したのは熊本の食材を使ったカレーです。

炊き出しの中心を担うのは、人吉市で食堂を営む本田節さん(69)。4年前の熊本豪雨時は、自らも被災しながら約半年、炊き出しを続けました。
■本田節さん
「医療従事者の方たちも、被災しながらなかなか十分な状況がないということで、ゆっくりする暇もなかったですもんね」

病院の職員は、自らも被災しながら地域の医療を守ってきました。
■病院職員
「とてもありがたいです。向こうも大変なことがあったと思いますけど、それを知って、なおこっちに来てくれるので、とてもありがたいと思います」
(お礼を言う職員)
「休憩の時間にいただいたんですけど、すごくおいしかったです。ありがとうございます」

■本田節さん
「おいしいという言葉が元気になるんですよ、お互い」

次に向かったのは、能登町の山間にある武連地区。地震で道路が寸断され、3か月近く孤立しました。
約60人のうち、8割以上が65歳以上の高齢者。3月20日にようやく水道が復旧しました。

始まったのは…。
■本田節さん
「一緒にお料理作ります。今日のメニューは、具だくさんのだんご汁。お母さんはどんなだんご汁?作る時には」
■被災した武連地区の女性
「私らはメギスかな」
■本田節さん
「メギスって何?」
■被災した武連地区の女性
「魚のすり身」
■本田節さん
「熊本の山から来たので、山のだんご汁を一緒に作ります。熊本の人吉から来たので」

被災した人たちと一緒に炊き出しの準備です。料理をしていると会話も生まれます。
■吉村静代さん
「ふれあい交流をしながら食事するという炊き出しだから『交流炊き出し』という形でずっとやってきている」

もう一品、本田さんが作り始めたのはホットプレート1つで作るスパゲッティ。一緒に料理を作るのは被災した人の自立を促すねらいもあります。
■本田節さん
「野菜たっぷりの元気が出る…全部入れてよかです。自分たちで自分たちのことは頑張ってやろうってならないと。いつまでも炊き出しはやれないので、皆さんが我が家でやれる防災食」

久しぶりの、地区の人が集まっての食事です。
■武連地区の住民
「いい味やわ」「うまいね」「みんなで作るとね、よけいおいしいんでしょうね、楽しいし会話が弾むし」

■吉村静代さん
「この辺は、フキノトウをどうやって食べます?味噌漬け?」
■武連地区の住民
「フキノトウは塩漬け」
■吉村静代さん
「地元で採れたフキノトウはおいしい、本当においしいですね。塩漬けにするって初めて聞きました。おいしいです」

■吉村静代さん
「みなさんと交流できることが本当にうれしいです。支援の輪を次から次に渡していくのと、つながってほしい。被災者どうしがつながることが防災減災につながっていくし、何かあった時に被災者じゃなければわからないことがたくさんある。そのつながりを続けていくというのが、一番皆さん方が元気になることかなと思います」