健軍町から市民病院まで1.6キロ 熊本市電の延伸計画が交通渋滞緩和につながる?
熊本市電は現在、健軍町から熊本駅前と、上熊本へ向かう2系統があり、総距離は12キロあまりです。熊本市は2015年度から東部方面、田崎方面、南熊本駅方面などの5つのルートを軸に延伸の検討を進めています。その中で、最初に動き出したのが、健軍町から熊本市民病院まで延伸する「自衛隊ルート(仮称・東町線)」です。延伸が都市部の渋滞解消につなげることはできるのか、取材しました。
■畑中香保里キャスター
「熊本市電の健軍町電停に来ています。市が延伸を計画しているのは、この電停から市民病院までの約1.6キロ、仮称・東町線です」
2031年度の全線開通を目指す、熊本市電の「仮称・東町線」。健軍町電停と市民病院との間に4つの電停を設ける計画です。事業費は概算で141億円。このうち9月の市議会で用地の測量や設計にかかる4億2000万円の予算案が可決されました。
■延伸区間の近くに住む人
「すごく助かると思います」
■延伸区間の近くに住む人
「便利ですからね、使うんじゃないですかね。ここまで市民病院もありますからね」
■延伸区間の近くに住む人
「中心部の下通とか上通とかに行くのに便利かな」
熊本県と熊本市は、「移動に車を使う人の1割が公共交通機関に移行すれば渋滞が半減する」という目標を掲げています。熊本市は、市電を延伸して利便性を高め、利用者を増やすことで渋滞緩和につなげようとしています。
■市電延伸室 太江田真宏室長
「今、都市圏全体で考えた時に、 全体として自動車というのが2000台ぐらい減少するのではという推計をしています」
しかし、地域住民からは渋滞への効果を疑問視する声も。
■延伸区間の近くに住む人
「本数が少ないですからね。電車の本数が減っていますからね、乗る人が集中して乗れない人が出てきている」
Q本数を増やさないと車が減っていかない?
「そうですね」
熊本市は、延伸によって市電の利用者が1日約2300人増加し、車の交通量は熊本都市圏全体で約2000台削減されると試算しています。延伸が交通渋滞の解消につながる根拠は何なのでしょうか?
■市電延伸室 太江田真宏室長
「国が出しているマニュアルを基に今、交通インフラの状態に市電延伸が加わった場合に、どういった人が公共交通に転換するのかというのをモデルを作って推計しているというところです」
■畑中香保里キャスター
「2000台減るというのが、どれくらい渋滞の解消につながるのかというイメージがなかなか湧きにくいんですけれども」
■市電延伸室 太江田真宏室長
「市民の方にわかりやすい情報提供というのを研究していかなければならないと考えています」
141億円を投じる巨額の事業。果たして、熊本市の試算通りに渋滞解消に向かうのか?課題は多くありそうです。