【解説】県の新年度予算案 人口減少対策は
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ここからは、県の新年度当初予算案について県政担当の神林記者とお伝えします。
今回の予算編成について、どこに注目しましたか?
神林記者)はい。加速する人口減少への対策についてです。
こちらは富山県の人口を示したグラフです。
去年、推計人口が100万人を割り込みました。
100人未満となるのは76年ぶりです。
深刻なのが少子化です。
おととしの県内の出生数は5512人で、8年連続で過去最少を更新し続けています。
県外に転出する人の数が転入する人を上回っていることも合わせ、県の人口は、去年1年間で1万人以上減っています。
こうした傾向が今後も続いた場合、35年後の2060年時点の県内人口は今より30万以上少ない62万5000人になるとの試算もあり、県は強い危機感をもっています。
上野キャスター)対策は待ったなしですね。
神林記者)人口減少への対策について新田知事は、「抑制」と「適応」という言葉で説明しました。
まずは 亡くなった人の数が生まれた子どもの数を上回る「自然減」の「抑制」を目指します。
具体的には結婚したい人への出会いの場をつくるためオンライン上でマッチングさせるアプリケーションを作るほか大規模な婚活イベントを開催する考えです。
また、男性が3か月以上の長期の育児休業を取得した場合、企業に交付する助成金を増額し、育児参加を促すほか、企業が従業員向けに行う家事支援サービスの普及啓発など、子育てしやすい環境の整備にも取り組みます。
新田知事「明日すぐにそうなるということはありません でもこういった取り組みをして積み重ねていくしか、自然減の抑制というのはできないというふうに考えております」
上野キャスター)出生数増加につながる取り組みを通して自然減の減り幅を「抑制」するわけですね。
一方、「適応」については。
神林記者)人口が減ると経済活動を担う人口も減ります。
こうした社会に「適応」するため、高齢者や外国人材など多様な担い手・働き手を確保し持続可能な地域づくりを目指す考えです。
取り組みを進めるため、大規模な組織見直しも行い高齢者や障害者など担い手確保に取り組む「人材確保推進課」。
外国人との共生に取り組む「多文化共生推進室」といった組織も新しく設けました。
新田知事「もちろん反対もあるでしょう議論もあると思います。そこはやはり、しっかりと話し合いをして、理解を深めながらやっていきたいと思います」
上野キャスター)新田知事にとっては、2期目最初の予算編成でした。
神林記者)新田知事は今回の予算で選挙で掲げた100の公約のうち82項目に着手します。
一方で、公約のうち0歳から2歳の第2子保育料無償化や不妊治療のうち「先進医療にかかる費用の助成」については「すでに実施している市町村もあり話し合いが必要」などとして盛り込まれませんでした。
県議会議員からは「幅広く様々な課題に予算を配分した」と評価する声が聞かれた一方、「加速度的に人口減少が進むことへの危機感をもっと打ち出し、県民と共有できるようなメッセージを打ち出すべき」との声も聞かれました。
知事の抑制や適応という言葉には人口減少という大きな流れに立ち向かうのではなく、影響を少なくしようとする現実路線に舵を切ったように感じました。
とはいえ予算案をみても、これまでの延長線上にある施策が多くみられ、どこまでその効果があるのかその実行力が問われています。
上野キャスター)神林記者でした。エブリイでは今後、新年度予算案から様々な県の課題についてお伝えします。