再開できない菓子店…水道は復旧したけれど 未だ整うことのない生活基盤
元日の地震に伴う断水などの影響でいまだ営業が再開できずにいる珠洲市の菓子店。
多くの人たちが再開を待ち望んでいますが水道が復旧したとしても、店を開けることができない厳しい状況にありました。
地震で大きな被害が出た珠洲市に、ほっと一息できる憩いの場があります。
「開いててよかった」
「開いててよかったやろ、ごめんね、なかなか開けれなくてね」
「いいのいいの」
珠洲市で100年以上続く老舗菓子店「メルヘン日進堂」。
断水などの影響で現在、菓子店としての営業は行っていません。
しかし、無事だった店と残っていた商品を活用し不定期でカフェを開いています。
メルヘン日進堂・石塚愛子さん:
「一人でも多くもう一日頑張ろうって思ってもらえたら…」
代表の石塚愛子さんです。
離れた場所にある自宅は津波の被害に遭いいまは珠洲市内の実家で生活。
カフェに訪れた人と情報交換をしながらやすらぎの場を提供しています。
訪れた人は:
「何気にほっとする場所があったから、自分の気力、気持ちがちょっとでも前に向けたかなっていうそういう場所を提供してもらえてみんな思ってると思う」
カフェにある食料品はほとんどが店によせられた支援物資。
訪れた人が自由に持ち帰ることができます。
一方、私たちが取材をしていると、珠洲市の外からお客さんがやってきました。
能登町から:
「お菓子買いに来たら電気ついてたからやってるのかなと思って行ったら違ったんだって…」
関東から:
「(お菓子を)買えなくて残念だったんですけど、次買いに来る」
この店のお菓子を楽しみにしている人が多くいます。
一日も早い水道の復旧が望まれますが、代表の石塚さんは水が使えるようになってもすぐに店を開けるのは難しいといいます。
石塚愛子さん:
「結局そのスタッフが住んでいるエリアに水が来て、手も洗える顔も洗える、お風呂も入れる、料理もできるっていう状態にならなければそれ(営業再開)は叶わないのかなというところ」
スタッフの生活環境、そして仕入れのための物流ルートなどすべてが整わなければ持続的な店の営業はできません。
「3か月きたからそろそろ行き届いたでしょって思いたいし言いたいですけど、実際はそうじゃないんですよっていうことが、いまお伝えできる最大限のこと」
一歩ずつ復興に向かってはいるもののまだ整っていない生活の基盤。
その先にあるお菓子の製造再開には、まだ時間がかかりそうです。