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志賀原発、再稼働への影響避けられず 北陸電力・松田社長「地震による新しい知見を反映」 規制委員会は審査の長期化を指摘

2024年2月8日 19:50
志賀原発、再稼働への影響避けられず 北陸電力・松田社長「地震による新しい知見を反映」 規制委員会は審査の長期化を指摘
元日の能登半島地震では、北陸電力の志賀原子力発電所でも一部の機器が損傷し、油が漏れるなどの被害がありました。放射能漏れなど深刻な事態には至らなかったものの、再稼働に向けての影響が避けられない見通しとなっています。

元日の午後4時10分頃の地震で、志賀原発のある志賀町では最大震度7を観測。北陸電力によりますと、1号機の原子炉建屋の地下では震度5強の揺れを観測し、電源設備も被害を受けました。

そのひとつが「変圧器」で、1号機、2号機ともにつなぎ目に亀裂が入るなどして油が漏れ、外部電源の一部が使えなくなりました。

さらに1月17日、1号機の非常用ディーゼル発電機の試運転をした際、ひとつが自動停止しました。

一方、能登半島北部にある海底断層について、北陸電力は「連動するのは、合わせておよそ96キロ」と評価していましたが、今回の地震で推定される震源断層はおよそ150キロと想定を大きく上回りました。

こうした事態に北陸電力の社長はー。

■北陸電力 松田光司社長
「今後の審査、安全対策、しっかりやっていかないと地元の皆様に理解されない。地震による新しい知見を的確に反映し、皆さまに説明して、安全安心を確保しながら再稼働につなげていきたい」

北陸電力は2号機の再稼働を目指していて、原子力規制委員会が審査を進めているさなか。去年3月には最大のハードルとされた敷地内断層の問題について北陸電力の主張が認められ、大きく前進したとみられていました。

しかし、今回の地震を受け、原子力規制員会は、震源の断層について「確定するにも年単位でかかり、審査はそれ以上の時間がかかる」と、審査の長期化を指摘しています。

そして、さらに別の課題も。

今回の地震では、志賀原発で重大な事故があった際の避難ルートとなっている11路線のうち、7つの路線が通行止めになりました。

地元の人
「原発の放射能だけではなく、津波来る可能性もあるし、道がいたむ可能性もある」
「実際に自分たちが被災してみると、道路のことは考えてなかった。地震を想定した対策をしてほしい」

今回の地震により、避難計画の実効性が揺らぐ事態となっています。

北陸電力は去年6月、電気料金を値上げする際、志賀原発を2026年1月に再稼働させると織り込んでいましたが…

北陸電力 松田光司社長
「料金の上昇幅を抑えるという意味もありまして、審査があの当時、最速で進めば無理ではないなと。2026年1月が絶対の目標では全くない。納期を決めずにしっかりとした安全対策、知見を反映させる。(志賀原発の)重要性は引き続き変わらない」

北陸電力は今回の地震の影響について、1・2号機ともに安全確保に問題は生じていないとしていますが、再稼働に向けての審査への影響は避けられない状況です。