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25年後は7人に1人が認知症 全国が注目 石川・金沢大学附属病院アルツハイマー最新治療

2025年2月13日 19:05
25年後は7人に1人が認知症 全国が注目 石川・金沢大学附属病院アルツハイマー最新治療

586万6000人。これは、2050年の国内の認知症高齢者の推計値です。25年後の日本では約7人に1人が認知症ということになります。

その原因となる疾患のうちの7割ほどが、もの忘れや判断力が低下するアルツハイマー病です。いま、アルツハイマー病の治療について、石川県の金沢大学附属病院が全国から注目されています。現状を取材しました。

1月28日…

「じゃあ治療、始めますね」
「はい」
「お変わりないですか?」
「はい」

金沢大学附属病院では、アルツハイマー病の新しい薬による治療が行われていました。

アルツハイマー病は、脳内に「アミロイドβ」という特殊なタンパク質が溜まって固まり、神経細胞が死んでしまうことが原因の1つと考えられています。

その新しい治療薬として、おととし日本で承認されたのが「レカネマブ」です。

レカネマブは、アミロイドβに結合して取り除く作用があり、病気の進行を抑えることが期待されています。

金沢大学附属病院脳神経内科・小野 賢二郎 教授:
「(これまでの薬は)生きている神経細胞を元気にして、なくなった神経細胞の分も頑張ってもらおう、そういうものだったんですね。病気が燃え盛っているところに直接迫れる根治的なアプローチが現実となったというところが大きなポイントだと思います」

ただ、この新薬が使えるのは、軽度の認知症とその一歩手前の状態の人。さらに投与するためには脳内の検査などが必要となります。

教授:「いま季節はいつですかね?」
患者:「一応冬です。冬ですね」
教授:「わかりました。ここどこかわかります?」
患者:「金大の入院病棟です」
教授:「あ、そうですねそうですね。しっかりされてるね。うんうん」

逆に言うと、認知症が進行している人には使えないのです。

金沢大学附属病院脳神経内科・小野 賢二郎 教授:
「日常生活がある程度保たれている、ちょっとおかしいなと思った段階に気づいたら、なるべく早く受診してくださいというふうには皆さんに呼びかけています」

一方、この薬は、2週間に1度の投与を原則1年半続ける必要があり、同時にひとつの医療機関で多くの患者を受け入れることは限界もあります。

金沢大学附属病院では、新たな患者への投与まで2か月待ちの状況です。

そこで、着手したのが他の病院との連携体制の構築です。

その1つが白山市の公立松任石川中央病院。

こちらでは、金沢大学附属病院から紹介された10人ほどの患者にレカネマブを投与しています。

「レカネマブ」の治療を続ける白山市の80代女性:
「この治療を受けてなかったら、もうちょっと病気も進んでいるんじゃないかなと思っておりますけども、まあまあ、お陰様であんまり不自由な思いしなくても生活できてるなと自分で思ってます」

金沢大学附属病院では、これまで全国トップクラスの症例数で、レカネマブによる治療を行ってきました。

そして、去年11月には、新たに保険適用となったアルツハイマー病の新薬「ドナネマブ」を、全国に先駆けて投与するなど、その治療体制について全国から注目されているのです。

金沢大学附属病院脳神経内科・小野 賢二郎 教授:
「いま60例以上投与しておりますので、3カ月あるいは半年もう終わって、いま連携施設にお願いしているんですが、「レカネマブ」が本当に効く人、適した人はどういう人か、さらには「ドナネマブ」が適している人はどういった人か、そういうことが見えてきたら、さらに患者ベースの治療につながっていくのではないかなというふうに考えており、そこをぜひ目指しております」

アルツハイマー病の克服につなげることを目指し、石川県内でも日々、治療や研究が続けられています。

最終更新日:2025年2月13日 19:05