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「運転はしたい・・・」高齢者の免許返納のリアル

2025年2月15日 8:00
「運転はしたい・・・」高齢者の免許返納のリアル

2023年の県内の高齢ドライバーによる交通事故は全体の約3割を占めています。高齢者の事故は増えている一方で運転免許を自主返納する人は減っています。高齢者はどんな思いを抱えているのでしょうか。

■「ブレーキペダルを踏むつもりが誤ってアクセルペダルを踏んでしまった」

2024年11月・・・。痛ましい事故が起きました。
鹿児島市下荒田で車が歩道に突っ込むなどして4人をはね1人が亡くなりました。運転していた84歳の女は、「ブレーキペダルを踏むつもりが誤ってアクセルペダルを踏んでしまった」と話しています。

2023年県内では、65歳以上の高齢ドライバーによる交通事故が908件起きました。全体の交通事故の約3割を占めていて、その割合は増加傾向にあります。その一方で、65歳以上の運転免許の自主返納者は、2019年をピークに減少しています。

■免許返納は減少…。県警はどのように考える!?

(鹿児島県警交通企画課・森山 英明理事官)
「2019年の4月に東京都の池袋で母子2人が巻き込まれてしまう非常に悲惨な事故が発生して、認知機能や身体機能の低下によって高齢運転者の危険性が高まるということに対してすごく意識が向いて自主返納が進んだと分析している」

生活に欠かせない移動手段を、自ら手放すという大きな決断。その一歩を踏み出しやすい環境づくりに、県警や関係機関も模索が続いています。

(鹿児島県警交通企画課・森山 英明理事官)
「例えば公共交通機関の利用代金が安くなるとか、高齢者が利用するような施設の利用料が安くなるといったような支援の拡充。関係する機関、団体の方に働きかけをするといった取り組みを通じて高齢者の方が自主返納しやすい環境づくりに努めている」

■免許返納のリアル

年が明けてすぐの1月9日。鹿児島市の交通安全教育センターにやってきた80歳の女性。50年以上無事故で運転を続けてきましたが、娘に返納を勧められたといいます。

(自主返納者)
「なんで娘がそんなに免許返納を迫るのと思っているが万が一事故にあったら”ほら、お母さん。だから言ったでしょ”と言われるのがつらいから」

免許を返納することへの葛藤も口にします。

(自主返納者)
「運転はしたい。不便ですもん。グラウンドゴルフ場に行く時が不便で友達に頼むほかなくなった」

■高齢者講習のリアルは!?

より多くの高齢者の声を聞き、その現状に迫るべく高齢者講習の様子を取材させてもらいました。鹿児島市の谷山中央自動車学校です。この日は、75歳から78歳の高齢ドライバー9人が講習に参加しました。年を重ねることによる運転技術や安全への意識の変化を感じています。

(参加者)
「自分自身は気を付けているつもりでいる。はたから見てどうかはわからないが、自信はあるが今は歳をとっているから、安全を先に信号がギリギリだったらもう止まるとか」

(参加者)
「(運転の技術が落ちてきているのは感じる?)感じる。駐車場でバックがまっすぐ入らない」

運転技術の低下を感じながらも、免許の返納は難しいといいます。

(参加者)
「返納したら生活が難しくなる。年寄りが集まる場所というのが地域、地域でしっかり確保されていればいい」

「車がないと生活が難しい…」高齢者のリアルな声です。

高齢者講習では、指導員の指示に従いながら実際に車を運転し、その技術を確かめます。普段から畑まで軽トラックを運転しているという77歳の男性。マニュアル車で講習に臨みます。

(指導員)
「突き当りをもう一度右ですね。 右ですよ」

指導員の指示が、うまく聞き取れない場面もありましたが、大きなミスはなく運転を終えました。

(指導員)
「見通しの悪い交差点に対してはもう少し慎重に行った方がいいかなと感じた。左折、右折もう少し速度を落として情報を読み取って安全確認をした方がもっといい運転になると思います」

次に運転に臨むのは、知らない道での運転に不安があり、遠方までの運転は控えているという75歳の女性。安全に気を付けながら、問題なく運転をしていましたが…

(指導員)
「ストップ!ストップ!!これ逆走になってしまっているので」

右折した際に誤って反対車線に入ってしまいました。

(指導員)
「一か所ちょっと逆走になったところがあったが」

(参加者)
「分かりづらかったです。車線が」

(指導員)
「きちんと分かったうえで曲がり始めた方が良いかもしれないですね」

(参加者)
「車線を確認するのは結構難しいなと思う。もう冒険はしません」

改めて、知らない道を運転する危険性を実感していました。

(谷山中央自動車学校・蓑茂 淳也 営業課長)
「止まるべきところは止まる。見通しが悪い所はしっかり安全確認。二段階停止やそれでも見えない場合は、もう一回止まってほしい」

誰もがいずれ直面する加齢による身体機能の低下。その変化を見逃さず、いち早く気づくためには周りからの指摘も必要です。

(谷山中央自動車学校・蓑茂 淳也 営業課長)
「自分の運転の危ないところに気づくには、自分ではあまり気づかないので周りの身近な人、家族の方が気づいてあげるのも一つのポイント。運転を続けていくうえで自分の体をよくわかったうえで運転を続けてほしい」

交通事故は自身だけではなく、家族や大切な人たちの生活も一変させてしまいます。高齢者だけでなく、ハンドルを握るすべての人が改めて自身の運転と向き合い、安全への意識を高める必要がありそうです。

(KYT news.everyかごしま 2025年1月22日放送)

最終更新日:2025年2月15日 8:00
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