【国内初】溺れる“前”の特徴的な動きをAIカメラが検知 鹿児島市のスイミングスクールに設置
気温が上がり水遊びが楽しい季節になりましたが、注意したいのが水の事故です。警察庁によりますと去年の夏に全国で発生した水難事故は453件。実は日本は世界的に見ても溺れて亡くなる人が多く、WHOの報告ではロシアに次いで2番目に多いというデータも。そうしたなか、溺れる前の動きに着目した画期的なAIカメラが鹿児島市のスイミングスクールに国内で初めて設置されました。
(山下香織キャスター)
「鹿児島市のスイミングスクールです。悲しい水の事故をなくすため、溺れそうな危険のある動きを検知する人工知能搭載カメラが設置されました。情報はリアルタイムで監視員に通知されます」
原田学園スイミングスクールで試験運用が始まったのは溺水予防検知AIカメラ「Aqua guard」です。開発したのは中央大学の石川 仁憲教授らのグループ。これまでも溺れた状態を検知するシステムはありましたが…
(中央大学 石川 仁憲機構教授)
「溺れに繋がる前の状態を出来るだけテクノロジーでカバーできないかと考えた」
溺れる前の特徴的な動作を検知するもので、実用化されるのは国内初です。どんな仕組みなのか、実際に見せてもらいました。天井に取り付けられた2台のカメラでプールをモニタリング。異常を検知すると監視員のスマートウォッチに画像が送られます。画像を確認すると、赤く囲まれた人の姿が。画面中央の子どもの動きが検知されたようです。
(監視員)
「沈む動作に対して反応している。沈んで自分で呼吸する練習をしているが、もし指導者が目を離して沈んだり浮いたりしている状態は「溺れた」と検知される」
AIが検知する溺れる前の特徴的な動作は「頭が浮き沈みする」「梯子を上るような動き」やコーチ達の意見を反映させた「台の下にもぐる」、「浮き輪がひっくり返る」など10パターン。延べ32万人の動作データを学習させ、90%の精度で検知できるようになったといいます。
(中央大学 石川 仁憲機構教授)
「見逃していたような動作とかコーチの皆さんからご意見いただいているのでそれを学習に加えてAIをさらに進化させて、データを蓄積しモデルの精度が上がり汎用性が高くなっていけば学校のプールとかに積極的に導入できると思う」
去年、富山県では水泳教室に参加していた5歳の男の子が、滋賀県では学童保育中の小学1年生がプールで亡くなる事故が起きました。
(原田学園 商崎 淳一さん)
「最大の目的は安全管理対策の強化。子どもたちを安心して預けてスイミング習わせられる環境を構築し続けていく」
悲しい事故を防ぐため、人の目をサポートするAI技術に期待が高まります。