×

【『への字栽培』とは?】高校生が環境負荷を減らす方法でコメ作り(宮城)

2024年6月5日 20:00
【『への字栽培』とは?】高校生が環境負荷を減らす方法でコメ作り(宮城)

環境への負荷を減らそうと『への字栽培』という方法でコメ作りに取り組む高校生に、注目する。

白壁里沙子アナウンサーリポート
「宮城県農業高校の学校田です。青空のもと、生徒たちが田植え機に乗って今まさに田植え中です。これから半年間、環境に優しい米づくりを目指して、ある方法で試験栽培を行います」

山根正博先生
「前回の授業で教えた『への字栽培』!」

『への字栽培』という方法でのコメ作りだ。

慣行農法では、田植えの前に徐々に成分が溶け出すコーティング肥料を一度にまく。
生育に合わせて溶けるため追肥の必要がない。

一方、『への字栽培』は、田植え前に肥料をまかず生育に合わせて必要な分だけ与える方法で使用する。
肥料は、半分以下に抑えることができるという。

『への字栽培』と呼ばれるのは、余計な負荷をかけず育てるイネがなだらかに成長し、なだらかに収穫期に向かう生育パターンが「へ」の形をたどるためです。

星碧虎さん
「肥料が減ると環境に良いのと、肥料代の削減にもつながります。 あとは人件費の面でもメリットがあります」

『への字栽培』のメリットについて専門家に、聞いた。

東北大学大学院農学研究科・田島亮介准教授
「肥料って、極端に言うとあげた分の3割や5割くらいしか使っていないんですよ。それを生育に合わせてあげれば理想的には100あげて100使われればいいんですけど、そうすると例えば半分とか3分の1くらいに理論的には減らすことはできます」

一方、『への字栽培』のデメリットは、農家にとって手間がかかってしまうこと。

そこで、生徒たちは『への字栽培』で使う肥料を、ゆっくりと溶け追肥の回数を減らせるウレアホルムという尿素が主成分の園芸用の肥料を使うことにした。

これには別のメリットもある。

慣行農法で使われるコーティング肥料は、溶け終わるとプラスチックの殻だけが残り海洋汚染の一因になっていたが、ウレアホルムの肥料は全て溶けきるため環境にも優しい。

これまで3年間の試験栽培で、収穫量や味の良し悪しを示す食味に問題がないことを確認。
また、日本政策金融公庫が主催するビジネスコンテストでは、グランプリにあたる内閣総理大臣賞を受賞し、ウレアホルムがコメ作りに有効であると証明してきた。

大西真瑚さん
「自然環境が整ってこその農業なので、環境を壊してはいけないと思って私たちはこのウレアホルムを作ったり、最近は炭などを使ってお米の収量をあげたりしているので、そういう研究ももっと広めていきたい」

丹野楓悟さん
「これから農家は減少していく傾向にありますけど、こういうやり方があれば増えていく。(肥料が)こんなに要らない、実はお金かからないんだとなったら増えていくと思うので、若い人たちにも知ってほしいです」

山根正博先生
「農業に未来を感じてほしいんです。自分たちが色々な研究や栽培をすることで、高校生が世の中を変えていけるというのを実感してもらえれば、地域の担い手として大きく成長すると考えている」