<『畑ワサビ』とは?>特産品化めざし初出荷 根っこでなく<茎>すりおろす(宮城)
『畑ワサビ』を、ご存じだろうかー。
新たな特産品を目指して、宮城県などが試験栽培を進め、20日 宮城・加美町で初出荷を迎えた。
ワサビというと根っこをすりおろす薬味が一般的なイメージ。
特産品として売り出す宮城・加美町では豊富な地下水を使って、その「沢ワサビ」が栽培されている。
一方、こちらで栽培されているのは『畑ワサビ』。
ワサビ自体は同じものだが、茎の部分をすりおろして練りワサビに加工する。
宮城県職員
「目標としてはこの畑ワサビ。目標収量が10アール当たり2トン」
宮城県は、練りワサビのメーカーが連携し、大崎地域でおととしから試験栽培を行っている。
この日は、農家を集めての見学会が開かれた。
茎をかじる参加者
「あっ辛い。さわやかな辛さ。辛いですけっこう」
「ワサビの香りが、ばっちりくる。んー、辛い辛い」
『畑ワサビ』は、海外での和食ブームを背景に輸出量が増えていて、メーカーで海外向けが占める割合は4割もあるという。
ところが、栽培農家の高齢化や温暖化の影響もあり、国産ワサビ全体の生産量は右肩下がり。
原料不足に悩むメーカーと、山間部の活性化を探る県などが一緒になって、産地化を目指そうとしているのだ。
宮城県・大崎農業改良普及センター 伊藤吉晴さん
「山間地域の農家の人たちは、これまで畑が狭かったり、日当たりが悪かったり、じめっとしていたりとか作業効率が悪くてとても苦しんでいました。畑ワサビはそういった地域が実は好きだと分かったので、畑ワサビをつくる事で、無理なく簡単に収入を上げる事ができるという事が分かってきました」
そして、6月19日 加美町の畑で初めての収穫作業が行われた。
苗を植えてから1年半。茎の長さは60センチほどなっていた。
農家・氏家賢司さん(76)
「辛みがあるという事で、イノシシも寄ってきません。近くで野菜を作っているのを守るという意味でも良いかなと思います」
試験栽培は大崎地域10軒の農家で行われ、全量をメーカー側が買い取るという事で販路の心配もないという。
そして、6月20日。
初出荷を祝うセレモニーが開かれた。
第1便として出荷されるのは、およそ300キロだが、今年は大崎地域全体で5トンの出荷を見込んでいる。
農家・氏家賢司さん(76)
「1年目としては最高の仕上がりかなと思います。胸を張って出荷できたと思います」
出荷された『畑ワサビ』は、愛知県などの工場で加工され、海外にも輸出されるという。
『畑ワサビ』は、元々 西日本での栽培が盛んだったが、温暖化で生産量が減少し、現在は岩手県が年間600トンで日本一。
宮城県は、来年には160トンの生産量を目指し、将来 特産品にしたい考えだ。