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【<特殊詐欺>被害 年間『9億円』超え】「警察官」が『劇団員』になり被害減へ 1人で1000万円超えるような被害も(宮城)

2024年5月9日 20:00
【<特殊詐欺>被害 年間『9億円』超え】「警察官」が『劇団員』になり被害減へ 1人で1000万円超えるような被害も(宮城)

宮城県内では、去年1年間で特殊詐欺の被害が『9億円』を超えた。

最近では、1人で1000万円を超えるようなケースもあるなか、その被害を減らそうと仙台市内の警察署では新たな取り組みが始まった。

4月26日。人口14万人の仙台市若林区全域を管轄する「若林警察署」。

この日、特殊詐欺の被害を防ぐため、ある部隊の発足式が行われた。

宣誓「我々は劇団員として!」

任命された役割は、事件担当でもなく事故担当でもなく…劇団員。

新たにできた組織は「若樹隊」と呼ばれ、寸劇を通じて特殊詐欺の被害を減らそうという新たな試みだ。

4月、若林警察署の柔道場には、若樹隊のメンバーが集まった。

警察官
「これは、劇で使う電子マネーカード。コンビニによくあるラックを作っています」

進めていたのは、劇で使う小道具づくり。
高齢者をターゲットに、コンビニで電子マネーにチャージさせる手口をテーマに設定した。

宮城県内の特殊詐欺の被害は年々増えている。
県警によると、去年1年間の被害額は『9億円』を超え、おととしの倍に迫る状況だ。

その手口は巧妙で、有名人を装った投資話やロマンス詐欺と言われる恋愛感情を利用したものなど、次々とカタチを変えている。

広報活動や防犯講演などできる限りの手を尽くしても、被害が減らない現状。
そこで、20代~30代の若手警察官が提案したのが「寸劇」という新たなアプローチ。

警察官
「防犯講話って、どうしても詐欺の内容とか話すと固い話になってしまう。だったら分かりやすく、その上で楽しんでもらえる形で劇をやった方がいいんじゃないかって」

小道具だけでなく、劇の台本も署員のオリジナルだ。

交番勤務する女性警察官(20)
「(劇を)最後にやったのは、小学生の時なのであんまり慣れないですね」

被害者役に容疑者役。コンビニの店員役に、警察官役。
それぞれの役割に入りきるまで、台本の修正をかけながらおよそ3か月かけて稽古を重ねてきた。

そして、4月26日。
取り組みが認められ、劇団員としての任務を正式に命じられた8人。
まず、身内である警察官に披露する。

「国際ロマンス詐欺」テーマの劇
「 SNSで知り合った。 でも僕には借金が。 どれぐらい支払えば。 コンビニで買って」

見守るのは、署長を始めとした若林署の幹部警察官。
緊張しながらも準備してきた役割を、演じ切った。

「顔も知らない誰かとやり取りをする際は、こうした詐欺があることを念頭に置き、甘い言葉に簡単に乗らないようにしてください。ご清聴ありがとうございました」

若林警察署・寺嶋恭子署長
「思っていたよりも上手にできてるんじゃないかなって思います。これからますます発展してもらいたいというか、上手になって、より一層広活動に活かせるよう頑張ってほしいと思います」

劇に出演した警察官
「こういう風に、劇団として正式に発足されてやることで、身が引き締まる思いです」
「特殊詐欺は、最近手口が巧妙になってきているので、やっぱり(地元住民との)関係性を構築するというところで防犯意識を高めて活かしていけると思っています」

手を変え品を変えいたちごっこの状態になる特殊詐欺への対応だが、ゆるぎない対策となるのはすぐに相談できる住民との関係性を作っておくこと。

市民が安心して暮らせる日々のため、できる手を打ち続けていく。

劇中の警察官
「それ詐欺の可能性が高いですよ。いったん私の話を聞いてください」