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仙台一高、山岳部に密着!めざすは伝統の山小屋 雪山で学んだのは自然の厳しさと…

2025年3月22日 1:00
仙台一高、山岳部に密着!めざすは伝統の山小屋 雪山で学んだのは自然の厳しさと…

凍った雪面を力強く進んでいくのは高校生たち。
もうじき100年を迎えようとする仙台一高・山岳部のメンバーです。

「貴重な経験なので楽しめたら」

今月、蔵王山で行われた雪山合宿。
真っ白に覆われた未知なる道を行く、高校生の挑戦に密着しました。

まずは体力づくりから

去年12月。仙台一高山岳部の姿は青葉区の蕃山にありました。

3か月後に見据えた雪山合宿を前に、まずは体力づくりです。

顧問
「井戸沢の小屋があるというのが本校の場合はほかにはない誇れる部分」

雪山合宿のゴール地点となるのは蔵王にある仙台一高の山小屋です。
歴代の先輩たちも大切にしてきた山小屋に向かうための訓練に、部員たちは実践に近い形で臨みます。

高校生
「ダンベルです!」

本番を2週間後に控えたこの日、部員たちは大和町の船形山へ。

なにより大切な地図とコンパスを手に、進むルートが合っているか確かめながら雪山の歩き方を体に覚えさせていきます。

OB
「山を歩いてて雪崩が上の方からだから俺のせいじゃないって言う(人がいる)けれども、そんなことはない。弱い斜面に人間が入り込んで雪崩を起こす」

いま、高校生が部活動で雪山に入るには、様々な手順が必要です。
学校長のほか、県や高体連、そしてほかの高校の顧問から計画や時期についての承認を得て、初めて雪山に入ることができる仕組みになっています。

めざすのは、仙台一高・伝統の山小屋

穏やかな天候となった15日(土)。
いよいよ雪山合宿の日を迎えました。

スタート地点となる澄川スキー場に集まったのは1・2年生の部員5人と3人の顧問。
万が一の時、自分の位置情報を伝える機材を身につけ、登山経験豊富な卒業生ら14人も高校生をサポートします。

目指す山小屋までは約2キロ、4時間のルート。
蔵王の絶景に見守られながら、雪山合宿がスタートしました。

今回、チームのリーダーを務めるのは1年生の田中藍莉さん。
部員それぞれが自立し、判断力を養うことを目的に、 登山ごとにリーダーを選んでいます。

田中さん
「この道はルート図に載ってないので新しい楽しみ方かな」

カンジキをしっかりと雪山に蹴りこみながら。リーダーの田中さんを先頭に、順調に進んでいるように見えますが…

田中さん
Q.方向ばっちりですか?
「方向ばっちりではないですね…」
OB
「あれが俺たちの目標なんだよ。だからこの辺から突っ込んでった方がいいと思う」

実践だからこそ、身に着けられることがあります。

そして、卒業生たちは万が一に備えた準備を高校生に伝えていきます。

OB
「迷ったときにこれ見つけるとすごく安心する。ここは間違いないんだと」

田中さん
「頼もしいですね。高校生だけだと命の危険があるので、ついてきてくれたりすると秘密のささやきがあったりすることは助かるなと思います」

学校生活では味わえない、登山の醍醐味

出発から約3時間。
予定よりも1時間早く、目標とする山小屋が見えてきました。

スムーズだったとはいえ、初めての雪山に緊張つづきだった部員からは思わず笑顔がこぼれます。

OB
「こんなに積もったの何十年ぶりだと思います」

1階を覆うほどの雪に囲まれた仙台一高・伝統の山小屋。
全員でチカラを合わせて雪をかき、きょうはここで一泊です。

そして、高校生も卒業生もみんなが楽しみな食事の時間。
それぞれが食材を持ち寄りました。

田中さん
「私が作りました。生ものだと時間がかかるので、作ってきて冷凍して持ってきました」

雪山と向き合う時の厳しさとは反面、世代を超えて温かい食事を囲む。
学校生活では味わえない、登山の醍醐味の1つです。

部員(1年生)
「頂上を目指してるので、1つの目標に向かってく楽しさと登った後の達成感」

部員(2年生)
「スマートフォンが使えないんですけど、みんなで一緒にご飯を食べたりだとか談笑したりする時間がとても濃密に感じられるところが一番いいところかな」

充実感に満たされながらも、無事に帰ることが本当のゴール。
翌日は天候が悪化するとの情報を受け、予定よりも早い出発に変更して寝床に入りました。

この経験はこれからの人生にも

朝5時。
予定より3時間早く下山を始めます。
初日の天気とは一転。
細かい雪が体を冷やし、新たに積もった雪が来た時の足跡を消していました。

ときおり、視界を妨げるように吹き付ける雪。
方角を迷いそうになった時、助けとなったのは初日につけた赤い目印でした。

万全の準備が、登山の安全を守る。

約4時間後、一行は全員無事に下山しました。

OB
「なにかつらいことがあったときでも仲間と一緒に、あの時はつらかったけど頑張って登り切ったよなみたいなことを思い出して、これからの人生に向かってもらえたら」

田中さん
「先頭を歩いているときに真っ白なところをみんなで歩いて行って後ろからみんなのついてくる足音が聞こえてくるところで来てよかったなと思った。普段の学校生活では味わえないので、一緒に生活して大変なことを経験してというのが仲良くなるうえでいいきっかけになるのでは」

挑戦。失敗。そして、成長。
多くの人に支えられながら、山岳部の高校生たちは一歩ずつ前に進んでいきます。

最終更新日:2025年3月24日 3:43
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