【特集】<宮城県警・山岳警備隊>山岳遭難の救助に駆け付ける女性隊員 「速やかに臨場し一人でも多くの方を助けたい」
秋が深まり、山を彩る紅葉は私たちを楽しませてくれる一方で、毎年 山岳遭難が起きている現状がある。
万が一の時に救助に駆け付けるチームの1つが、宮城県警の山岳警備隊。
そこで活動する1人の女性隊員に、注目した。
山を歩く「ザ、ザ、ザ、ザ」
10月5日。
仙台南署・古山和代警部補)ここもポイントがあります。こういうポイントポイントを覚えてほしい。これが今日の訓練の目的の1つでもある。
訓練のため、仙台市太白区の大東岳に入っていたのは、このエリアを管轄する仙台南署の警察官ら21人。
山岳救助に備えた訓練は、1人の女性警察官の指揮の下で行われていた。
仙台南署の警部補、古山和代さん。
宮城県警の中で、山岳救助の経験や体力がある警察官が携わる「山岳警備隊」の一員で、数少ない女性隊員の1人でもある。
普段は、仙台市太白区の長町交番に勤務する古山さん。
休日にも山に登るなど、日頃から体力づくりを心掛けているそう。
古山さんの部下
「(古山所長は)署の4階まで階段で登る。私はほとんど階段使わないんですけれど、古山所長がエレベーターを使っているところを見たことがない」
いまは所長として、交番を取り仕切る立場の古山さん。
警察官になるきっかけは、2008年に発生した「岩手・宮城内陸地震」だったと言う。
仙台南署・古山和代警部補
「危険な現場で、隊員同士協力し合いながら、1人でも多くの行方不明者を早期に発見しようと一生懸命取り組んでいる姿が、非常に印象に残った」
「自分もたくさんの人の助けになることができたらー」
古山さんは、地元・宮城の警察官になることを決めた。
様々な現場を経験した後、2020年に念願の機動隊に配属。
当時、宮城県警の女性機動隊員として初めて山岳救助に携わり、3年間でおよそ20件の出動を経験した。
仙台南署・古山和代警部補
「宮城県警・機動隊の山岳警備隊で、初めての女性隊員ということで、現場で本当に活躍できるのかという不安がよく聞こえたが、実際に現場に臨場したときに、助けた(女性の)方の中から、あなたにいてもらってよかったと言ってもらえた時に非常にやりがいを感じた」
「自分の経験を若手警察官に伝えていきたいー」
古山さんは、指導役として今回の訓練に携わる。
去年、宮城県内の山岳遭難は20件。
このうち、今回の訓練場所となった大東岳でも発生している。
特に、今の時期は多く、紅葉に目を奪われることで足元への注意がおろそかになり、その結果 滑落したり道に迷うケースが起きるという
実際、進むルートを若手警察官に委ねた訓練の最中にもー。
先輩隊員)こっち側渡れ
案の定、登山道を間違ってしまった。
二手に分かれた道で、誤った方向を選んでしまったのだ。
新人救助隊員)いけそうな道があって、そのまま行ってしまったら、遭難してしまったというような感じ
自分が道に迷った経験が、実際の救助現場で役に立つことがある。
あえて見守る形をとりながら、隊員たちに経験を積んでもらおうとする古山さん。
そして、それぞれのレベルにあわせた的確なアドバイスに、若手隊員は刺激を受けているようだ。
仙台南署・山岳警備隊員
「普段も果敢に現場臨場していただいて、適切な技術判断をしてくれるけれど、(救助訓練中の古山さんは)普段以上に頼もしい。熟練度が違うと痛感している」
仙台南署・古山和代警部補
「山岳救助はもちろんなんですけれど、山岳だけではなく様々な救助に備えて日々訓練をして、実際に発災したときには速やかに臨場して、一人でも多くの方を助けたい」
自分の経験を多くの仲間に伝えながらー。
古山さんは、きょうも誰かの万が一に備える。