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高齢化で存続の危機…人気うどん店を救ったのは"常連さん" かまぼこ店が経営引き継ぐ《長崎》

2024年3月20日 7:00
高齢化で存続の危機…人気うどん店を救ったのは"常連さん" かまぼこ店が経営引き継ぐ《長崎》

半世紀近く市民に親しまれた長崎市のうどん店。営んでいた夫婦の高齢化などで存続が危ぶまれたものの、先月移転オープンしました。ここにしかない味を守りたい。経営を引き継いだのは店の「常連さん」でした。

長崎市の湊公園近くの路地を入った先にある「手打ちうどん さぬきや」。

2月1日、リニューアルオープンしました。

店主の馬場 重寿さん(53)が打つ自家製麺が人気のうどん店です。

(馬場重寿さん)
「季節とかその日の天気、湿度によって微妙な練り具合に差が出るので、そういうところを父にも教えてもらい、自分で研究しながらやってきた」

去年まで店を構えていたのは長崎市役所の旧庁舎に近い桜町。

馬場さんの父・勉さんと母・妙子さんが1976年に開いた店は、市職員や近隣の会社員など多くの常連客でにぎわいました。

20年ほど前から馬場さんも店に入り親子3人で営んできましたが8年前、勉さんがケガのため引退。

妙子さんも高齢となったことから馬場さんは、今後について…

(馬場重寿さん)
「2年くらい前にも(母が)体調を壊して1か月半くらい店を閉めたときもあったので、早めに楽にさせてあげたいという思いがあった」

長くは店を続けられないのでは。

そう考えるようになり相談を持ちかけたのが髙﨑 一正さんでした。

「長崎一番」のブランドで知られる老舗かまぼこ店「長崎蒲鉾」の社長で長年、さぬきやに通っていた「ファン」の1人です。

(髙﨑 一正社長)
「余裕があればすぐにやろうかとできるけど僕らの業界もなかなか厳しくて、コロナから始まって(ウクライナ)戦争となんでもかんでも(物価が)上がってきて。ただ僕としてはいちファンとしてこの味は消したくない。ちょっと考えさせてくれと言った」

長崎人の好みに合わせた柔らかめの自家製麺と、昆布、カツオを合わせた上品な「だし」。

この店にしかない味を残していくため、髙﨑社長は去年、経営を引き継ぐことを決断します。

馬場さんを長崎蒲鉾の社員として雇い、「長崎一番」の店舗の一部を改装。

新生「さぬきや」を先月、オープンしたのです。

(髙﨑 一正社長)
「うどん屋をするために(店舗の)壁を取ってしまってかまぼことうどんとのコラボ、こっちでうどんを食べて帰りに揚げたてのかまぼこを買ってくれたりしている」

馬場さんの母、妙子さんは新店舗でも厨房に立ち続けます。

(妙子さん)
「すごくうれしい。『さぬきや』の名前を引き継いでもらえただけで最高にうれしい。もう引退と(前の)店に貼ってきたけど楽しくて頑張っている」

帝国データバンクが去年、行った調査では、県内企業のおよそ6割が「後継者不在」と回答。

事業が“黒字”であっても継承する人がいないことで廃業を選択するケースも多いといいます。

そんな中、“常連”の熱い思いで看板を守ることができた「さぬきや」。

馬場さんは感謝の気持ちを胸に、次の世代にもこの味を伝えていきたいと話します。

(馬場重寿さん)
「今までの味を引き継がせてもらって、のれんも引き継がせてもらって本当に感謝している。今まで以上に地域の人に愛される店を作っていきたい」