運転士不足の中で路線維持の解決策は 長崎の路面電車108年で記念運行《長崎》
営業開始から16日で108年を迎えた長崎電気軌道の路面電車。長崎市民の足として欠かせない交通機関ですが、運転士不足など維持に向けた課題は山積です。
専門家は、路面電車の輸送力強化が今後、必要だと話しています.
1911年、明治44年に製造された木造の車両「168号」。
「開通記念の日」の16日、特別に運行されました。
(利用者)
「100年前から走っている電車ということで、当時の人たちが乗っていたと思うと、自分もワープしたような気持ちで今、わくわくしながら乗っている」
「息子が電車が好きなので、(記念電車が)走ると知って待機していた」
長崎市の長崎電気軌道は、108年前の1915年11月16日に営業を開始。
当時は浜口町の病院下駅から築町駅までのおよそ3.6キロを運行していました。
市民にとって、移動の足として欠かせない路面電車。
利用者はピーク時の1942年度はおよそ3400万人でしたが、人口減少に加え、コロナ禍の昨年度はおよそ1300万人にまで減少しています。
公共交通に詳しい國學院大學の高橋 信行教授は、路線を維持していくには市中心部への輸送力強化が必要と話します。
(國學院大學 高橋 信行教授)
「今後発展があるとすると、路面電車の車両を大型化し、一度に運べる乗客を増やす。そうすると台数を減らせるので、 運転士にも余裕が出てくる」
古くは1945年に製造された車両が運行されている路面電車。
レトロな車体を活かした観光資源化が、活路の1つとなるとも指摘します。
(國學院大學 高橋 信行教授)
「古い電車が走っていること自体が観光資源になり、路面電車の中でイベントを開くことも考えられる。活用するといい観光資源であり続けると考えている」
さらに、バス会社などとも協力し郊外、中心部での交通手段のすみ分けが今後、大切だといいます。
(國學院大學 高橋 信行教授)
「(長崎は)中核となるエリアがあり、そこを路面電車がつないでいるのは非常に効率性がいい路線ができている。そこに郊外の住宅地に向けた支線としてのバス路線をつなぐことで、今後も効率的な交通網は維持できる」
今、抱えている大きな課題が運転士不足です。
(長崎電気軌道 八並 大地係長)
「コロナ渦前でも実際にぎりぎりの所ではあったが、昨今の人員不足という流れで採用活動をしても応募がない現状」
運転士が足りず、減便を余儀なくされるなか、今月、アミュプラザ長崎新館が開業するなど市民の足としての役割は増していて、電気軌道では輸送力の強化に力を入れたいとしています。
(長崎電気軌道 八並 大地係長)
「大型施設の開発を踏まえて、長崎市内でお客様の移動が増えてくると思うので当社としては移動の手段として利用してもらえるように輸送力の強化というところをやっていく必要はある」