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「楽しむことを諦めない場所」理学療法士サポートのグランピング施設 障害ある人も家族旅行を《長崎》

2024年2月23日 6:45
「楽しむことを諦めない場所」理学療法士サポートのグランピング施設 障害ある人も家族旅行を《長崎》

誰もが楽しむことを諦めない場所を目指して。

長崎市に去年12月オープンしたグランピング施設。

バリアフリーデザインにこだわります。

▼年齢や障害の有無にかかわらず「使いやすさ」を重視した施設

(利用客)
「うわ~ すごいね。広い」

広々とした空間。ドームテントの窓からは、大村湾を望むことができます。

去年12月、長崎市長浦町にオープンした グランピング施設「Flat Glamping Nagasaki」。

4棟のドームテントは、プライベートが保てるよう、離れて配置されています。

家族やグループで絶景を楽しめるほか・・・。

(まき割りを楽しむ人)
「やったー!できた」

まき割りやたき火など、体験メニューも用意されています。

(長崎市から)
「(普通のキャンプだと)空調とかも含めて、心配しながら夜を迎えたりするので、そういう心配もなくてゆっくりくつろげそう」

グランピング施設を企画したのは、諌早市在住の理学療法士 宮田 貴史さん。

(理学療法士 宮田 貴史さん)
「コンセプトはすべての人に旅行体験を、旅行をもっとフラットにというスローガンでやっている」

▼車いすでもそのまま外に 家族と一緒に食事も楽しめる配置

施設のこだわりは「ユニバーサルデザイン」。

年齢や障害の有無にかかわらず「使いやすさ」を重視しました。

(理学療法士 宮田 貴史さん)
「動線すべて、敷地内すべてをフラットにということでこだわってつくっている。ちょっと外行こうかとなった時に、車いすの方も外にそのまま出ることができる、家族と一緒に食事も楽しんでもらえるという配置にもこだわった」

段差をなくして、通路も広く。

トイレや浴室は、車いすでも余裕を持って動くことができるほか、トイレはオストメイト(人工肛門・人工膀胱)対応となっています。

また車は、直接テントの横に乗り入れることができます。

「アウトドア」の分野にバリアフリーでチャレンジ。そこには理由がありました。

▼障害があっても旅行、そして人生を楽しんでもらいたい

(子どもたちと一緒に)
「いち、に、 いち、に。 上手になったね」

長崎市城山町にある「こどもトレーニングひろば しろやま」。

発達障害や体の不自由な子どもたちを支援する事業所です。

宮田さんは、この事業所を運営する企業「ユースリー」の代表。

10年前に立ち上げ、障害のある子どもたちと家族のサポートを続けてきました。

ただ・・・。

(理学療法士 宮田 貴史さん)
「ふと考えた時に、(子どもたちや家族が)安心して暮らせるようになることが目的なのか?という疑問が自分自身に湧いてきて。何のためにこの子たちが生まれてきたんだろうと考えた時に、楽しんでもらいたいな人生をと」

宮田さんの長男 結丞くんにも障害があり、家族でそろって出かけることはハードルが高かったといいます。

(理学療法士 宮田 貴史さん)
「旅行にいった記憶がほとんどなくて、家族全体で家族写真とかも見返すと少なくて」

障害がある人たちは、車いすでの移動の難しさやトイレや入浴の心配など外出を阻む障壁が多くあるといいます。

去年、国土交通省が行った調査でも「障がいがある人の25.8パーセントが国内での宿泊を伴う旅行はしていない」と 答えています。

(理学療法士 宮田 貴史さん)
「障害があっても、安心して遊びに行ける場所をつくってあげようと思ったのが、まず最初のスタートライン」

「アウトドアに行けるなら、どんなお出かけだってできる」と勇気を与えたい。

▼自力で起きられなくても 景色や家族との会話を楽しめる配慮

宮田さんは、障害のある子どもを持つ親や、事業所の利用者から意見を聞きながら、2年間にわたって施設の設計を進めてきました。

特にこだわったのは・・・。

(理学療法士 宮田 貴史さん)
「冷暖房がある所じゃないと旅行に行けないという声が多かったので、ドームテントに強力な冷暖房を入れている」

障害によっては、体温調節が難しい子どもたちもいるため、脱衣室にも冷暖房を。外のデッキにも完備しています。

また、ベッドにも特別のこだわりが・・・。

(理学療法士 宮田 貴史さん)
「スリーモーターベッドといって、高さも上がって足も上がって、頭も上がるというベッドを導入している」

自力で起きられない場合でも、景色や家族との会話を楽しめるようにしました。

車いすからベットに移るためのボードなど、福祉用具もレンタルできるそうです。

(理学療法士 宮田 貴史さん)
「障害がある方々が手すりを持っていくとか、点滴スタンドを家から持ってくるとかは現実的ではなく、旅行を諦めている方が多いので、こういったものも当施設では準備していて無料で貸し出している」

また、スタッフも理学療法士。

グランピング施設に常駐して、宿泊者のサポートにあたります。

▼「フラットで誰もが使いやすい」を 長崎発信から発信したい

障害のある人もその家族も、安心して笑いあえるように。

目指すのはだれもが「楽しむことを諦めない場所」です。

(理学療法士 宮田 貴史さん)
「障害があっても、旅行や楽しいことを諦めない社会をということで、社会が少しずつそこに向かっていっている。10年後のユニバーサルツーリズム。本当にみんなが使いやすいというものを、長崎発信で発信していけたらと思う」