【水族館部】タコ愛溢れる高校生が世界的大発見!?専門家も認めるスゴイ研究
県内の今年1年の出来事を振り返る「愛媛総決算2024」、きょうはチャン4が長年追いかけている「長高水族館」の1年です。この春、大きな節目を迎えた長高水族館。現在、世界的な大発見になるかもしれない研究が進行中なんです!
愛媛県立・長浜高校、通称長高。全国でも珍しい水族館部で150種、2000匹の生き物を飼育しています。全校生徒の半数以上が所属する水族館部には、全国各地から生き物好きの生徒が集まっています。
その中に、タコを愛してやまない部員が。
石丸夏実さん:
「(タコは)血が青かったりとか、脳が9つあったりとか、心臓が 3つあったりとか、人間では考えられないような体のつくりをしてたり。感情はあるのかとか。そういうミステリアスな生き物なんですよ」
石丸夏実さん、3年生。なんと、世界をざわつかせるかもしれない、研究を進めています!大きな転換点を迎えた長高の1年と、専門家も絶賛!タコ愛が実を結んだ研究に迫ります。
今年4月。長高水族館に大きな節目が訪れていました。これまで校内にあった施設が老朽化を理由に、学校近くの保健センターへ移転することになったのです。
水族館部史上最大のミッションに、大忙しの春。その中に…
石丸さん:
「ほんとに好きなんです、タコが。その子が好きなのでその子のためにタコ水槽を立ち上げて」
入部してすぐ、長高水族館初のタコ水槽を誕生させた石丸さん。タコを愛し続け、3年生になりました。
幅3mの巨大水槽や竜宮城と名付けた展示室など、見どころ満載となった新水族館。
リニューアルオープン初日、新生・長高水族館の第一歩はお客さんの笑顔で溢れました。
8月。地元の夏祭りに合わせて行われた、夜の一般公開。抜群のロケーションを誇るテラスを活かし、初めて“花火が見えるカフェ”に挑戦しました。
みんなで汗を流した、かけがえのない時間。石丸さんたち3年生は夏、水族館部を引退しました。
宇和島市出身の石丸さんは、学校が用意した女子寮で暮らしています。部屋の中は…タコだらけ!タコに関する本やノートも。
石丸さん:
「これはたぶん解剖したときのやつで。鏡像自己認知。鏡を用いたマダコの自己認知の実験と書いとるんですけど」
鏡像自己認知。つまり、鏡に映る姿が、自分だと認識できる能力のこと。ヒト以外では、チンパンジーやイルカなどで確認されていますが、無脊椎動物では未確認。世界で誰も証明できていないのです。石丸さんは、タコにこの鏡像自己認知の能力があるのではないかと、2年前から研究を続けています。
石丸さんはいま、部長の大西寅ノ介さん、タコを目当てに沖縄から入部した與那嶺真貴さんと「チーム・タコ」を結成して、研究に没頭しています。
大西くん:
「僕は長浜高校入って来たときはフグかホンソメワケベラの研究をしようと思っていたんですけど、実際に入ってみて先輩の鏡像自己認知の研究発表聞いて、なにこれめっちゃおもろいやん!ってなって、助手にさせていただきました」
石丸さん:
「與那嶺…與那嶺すごい、ねぇ、頑張ってるよ」
もちろん、研究にはタコの存在も欠かせません。
石丸さん:
「名前は、エビフライくんです。マダコのエビフライくんです」
Q.マダコのエビフライくん?
石丸さん:
「この子が、私たちがやっている 『マダコに鏡像自己認知能力は備わっているのか』っていう研究に、大いに貢献してくれた子で、この子の1個体のデータなんですけど、マークテストに合格したという結果が出て」
“マークテスト”とは、視界に入らない体の一部にマークを付けて鏡を見せる実験のこと。鏡を見てマークを触れば、鏡の中の姿が自分であることを認識できていると判断することができます。
石丸さん:
「こんな感じで、まんまるのマークが今ついたので、これをマークとして」
マークはタコの目の下、死角につけているので、鏡がないと見えません。
鏡があるときにマークに触れる回数が増えると、鏡に映る姿が自分であると認識している可能性が高い、という理屈です。試行錯誤の結果、マークには、タコへの負担が少ない「メチレンブルー」という薬品を使うことに決まりました。
石丸さん:
「マークテストを、鏡ありと鏡なしで計5回やった結果になるんですけど、青い方が鏡がある場合。でオレンジが鏡なしの場合で、鏡があるときに、マークをたくさん触っているという結果がとれて、マダコが鏡像自己認知できる可能性が示唆されました」
特に1回目の実験では鏡ありだと10回もマークに触れていますが、なしのときは1回だけです。
この結果を、全国の高校生たちを対象にした研究コンテストに出品したチーム・タコ。見事、7日から開催される、最終審査会に進むことが決定しました!
石丸さん:
「タコに鏡像自己認知能力が備わっているっていうのが分かったら、今まで社会性を持つ動物に必要だから、鏡像自己認知能力があるんだと言われていたけど、じゃあ別の用途でそういう能力が使われているかも知れないとか、タコにはまだ私たちが知らない社会があるのかもしれないとか、新しい知見を得られるかなと思って。そういうところがこの研究の魅力だと思っています」
今月1日。石丸さんたちの姿は、松山市にありました。この日開かれたのは、全国から心理学の研究者が集まる学会。チーム・タコの研究をサポートしている、人間環境大学の高野教授が招待してくれたのです。
人間環境大学 総合心理学部 高野 裕治教授:
「本当は、こういう学会って大学院生以上が発表する場所なんだけれども、十分伝わる内容だし、ぜひ現場で研究者の最前線の人たちと議論してもらいたいなと思いまして」
発表はポスターの前に立って、興味を持って訪ねて来た人に説明する形式です。様々な研究が並ぶ中、オーディエンスは集まるのか…
石丸さん:
「私たちは、マダコにおける鏡像自己認知というテーマで研究を行っています。まず、テーマにもあります鏡像自己認知とは、というところなんですが、」
堂々たる滑り出し!ハキハキと発表し、集まった人も興味深くうなずいています。
2年生の大西さん、1年生の與那嶺さんも、先輩に負けず劣らずのいきいきとした振る舞い!
女性:
「どれくらい成長してるタコなんですか?」
石丸さん:
「寿命が1~長くても3年て言われてて、短いんですけど今回実験に使用したタコは1年くらい経ったタコでそんなに小さくはないタコを使用しています」
様々な質問が飛んできますが、1つ1つ真摯に受け答え。
日本女子大学 金沢創 副学長:
「素晴らしい~!これ、驚くべき結果というか論文になるぐらいの結果だと思います。本当に」
心理学のプロフェッショナルも大絶賛!と、そこに訪ねてきたのは…
日本における、タコ・イカの行動研究の第一人者、琉球大学の池田譲教授。石丸さんの愛読書の著者でもある、レジェンドです!果たして、反応やいかに…!
池田教授:
「この辺(マークの付け方)が、 やり方としては上手ですよね。メチレンブルーが付くんですね」
石丸さん:
「付きます」
池田教授:
「やられたなぁ。そうかぁ」
Q.今回の研究は大発見になるかもしれない?
池田教授:
「悔しいけどそうです。先にやられたって感じです。もうライバルみたいな感じです。負けずに頑張ります」
憧れの研究者からも太鼓判!すると石丸さん…
石丸さん:
「先生、サインをいただいてもよろしいですかね」
池田先生が書いた本にサインをゲット!この日一番のスマイルです。学会で手ごたえをつかんだチーム・タコ。
石丸さん:
「しっかりした場でやるのが初めてだったので、雰囲気みたいなのも知ることができたし、アドバイスもいただいたので、それを次作るポスターに反映させて、もっと良い発表が来週(全国審査会で)できたらなと思います」
高校生たちの研究が、世界を揺るがすかも!?2025年も、長高水族館から目が離せません!