【親族3人殺害事件】裁判員裁判「中間論告」で検察側は「男が殺意をもって犯行に及んだ」と主張(地裁浜松支部)
2022年、浜松市で、祖父母と兄を殺害した罪に問われている元警察官の男の裁判員裁判で、18日に検察側が意見を述べる「中間論告」が行われ、「男が殺意をもって犯行に及んだ」と主張しました。
元警察官の男(25)は、2022年3月、浜松市中央区の自宅で、祖父(当時79)と祖母(当時76)兄(当時26)の頭を、ハンマーや金づちで殴って殺害した罪に問われています。これまでの裁判で、男は「人を殺した自覚がないし記憶もない」と起訴内容を否認し、「ボウイという別人格が犯行に及んだ」などと主張していました。
18日は、検察、弁護側が、それぞれ意見を述べる「中間論告・弁論」が行われました。
検察側は、犯行時間帯に男が凶器とされるハンマーを所持していたことや、金づちの持ち手部分に付着した血液が、男のDNA型と一致したこと、犯行直後に血が付いた服を洗濯していたことなどを指摘。子どもの頃に家族から虐待を受けた体験などから、「恨み」「絶望」「怒り」の感情が大きく、殺害の動機もあると主張しました。また、男が殺意をもって3人を殺害したことを自白した捜査段階の供述は信用できるとして、「男が殺意をもって犯行に及んだ」と主張しました。
一方、弁護側は「犯行を目撃した人は1人もいない」と主張。男は虐待を受けたことについて「自分が悪い」と考えていて、殺意に結びつくほどの「怒り」「恨み」があったのか、合理的な疑いが残ると反論しました。また、犯行を自白したのは「別人格のボウイ」で、「捜査員の誘導に従った供述が見受けられる」として、「本当に男の犯行なのか慎重な判断をしてほしい」と述べました。
22日からは、男を精神鑑定した医師が出廷して証人尋問が行われます。