【静岡県知事選】告示まで1週間切りGW中も精力的に動く立候補予定者…公開討論会で訴えた県政ビジョンとは
異例ずくめの“短期決戦”で、告示まで一週間を切っている知事選。ゴールデンウィーク中も動きを止めていません。5月2日は公開討論会を実施、そして3日は毎年多くの人が訪れる「浜松まつり」にそれぞれが参加し、自身の政策を訴えるなど、積極的な活動を行いました。
告示まであと6日となった今回の知事選。
現在、出馬を表明しているのは、元副知事の大村慎一氏、前の浜松市長・鈴木康友氏、共産党県委員長の森大介氏、政治団体代表の横山正文氏の4人です。
各陣営では、このゴールデンウイークを利用し知名度アップと支持獲得に向けた動きが活発化していて、5月3日、大村氏、鈴木氏、森氏の3人は、2023年も250万人以上が訪れた「浜松まつり」に参加していました。
大村氏は、支援者の「初子の祝い」に参加したほか、今回の祭りのために作った名刺を陣屋に渡して回るなど、支援を呼びかけました。
(元副知事 大村 慎一氏)
「私にとって浜松も大事な故郷なので、オール静岡で」「皆さんの声に耳を傾けて聞いていきたいと思っている」
一方、自身の基盤でもある地元のまつりに参加した鈴木氏。法被を着て出陣式を行った後、祭りの参加者や会場を訪れた浜松市の中野市長とあいさつを交わすなど、精力的に会場を回っていました。
( 前浜松市長 鈴木 康友氏)
「きょうは浜松まつりなので、今まで通り参加して、時間のある時に色々な地域を回って今までの思いや政策を訴えていきたいと思う」
そして、自身初となる「浜松まつり」に参加した森氏。地元の市議から借りた法被を着て各陣屋に名刺とチラシを配りながら積極的にあいさつ回りをしました。
(共産党県委員長 森 大介氏)
「超短期決戦、一人一人の皆さんとの出会いが票を広げる力になってくると思うので、目一杯あいさつやアピールをしていきたい」
また、1日 出馬を表明した政治団体代表の横山正文氏は、「浜松まつり」には訪れず、ゴールデンウイーク中に街頭演説を行いたいと話しています。
2日 夜、開かれた知事選の公開討論会。静岡市清水区の会場には約200人が詰めかけました。
知事選にはこれまでに、元副知事の大村慎一氏、前の浜松市長、鈴木康友氏、共産党県委員長の森大介氏、政治団体代表の横山正文氏が立候補を予定していますが、討論会には4月までに出馬を表明した大村氏、鈴木氏、森氏の3人が出席。静岡産業大学の小泉教授がコーディネーターをつとめ、有権者の関心が高いと思われる3つのテーマについて論戦が繰り広げられました。
最初のテーマは「あなたが描く静岡のビジョン」
(元副知事 大村 慎一氏)
「強く元気で温かい静岡県を目指したい」
大村氏はこう述べ、特に防災対策に力を入れたいと主張。
(前浜松市長 鈴木康友氏)
「オール静岡で幸福度ナンバーワンの静岡県を作ります」
鈴木氏は重点政策として浜松市長時代に実績をあげた企業誘致、スタートアップ支援を全県に広げたいと述べました。
(共産党県委員長 森 大介氏)
「県民の幸せを応援する命と暮らし最優先の温かい県政」
森氏は、リニア建設の中止、浜岡原発の廃炉を訴えました。
ここで、鈴木氏から大村氏に質問が。
(前浜松市長 鈴木康友氏)
「先ほど強い静岡県を作っていく中で産業政策について触れられていましたので、大村さんの思い描く産業政策を もう少しご説明いただければと思います」
(元副知事 大村 慎一氏)
「人手不足が方々にあります、これはどの産業でもそうなんですが、特に産業において大半を占めている中小企業、本当に困っています、その生産性を高めていく、これがまず重要だと思っています。これをやっていくために、私はデジタル大学を作ると言っている、身近な事務作業、連絡調整、こういったことはデジタルの力で様々な課題が解決し、そして人手不足を解消することができます、ロボットなど静岡県には素晴らしい産業があります、新しい技術、これをいれていくことに中小企業の生産性をもっと伸ばしていく、そのために ひとつひとつの企業ではできない生産性の向上について県が中心になってそのお手伝いをしていく」
すると今度は、大村氏から鈴木氏に…。
(元副知事 大村 慎一氏)
「企業の大半は中小企業で、静岡県もものづくり産業はじめ中小企業が支えている、その方々を元気にしていくためにどういったことを考えているのか?スタートアップだけでは県内全体が元気になるとは思えない」
(前浜松市長 鈴木康友氏)
「スタートアップはゼロから起業するのもスタートアップですけど、中小企業の第2創業、これもスタートアップであります、本業をやりながら一方で新しい事業を起こしていく、橋本エンジニアリングという精密機械加工の会社が世界最軽量の車いすを作りました、今車いす(テニス)の女子のチャンピオンに提供している、これは新しい事業の核ができている、こういう形で中小企業の第2創業をしっかりバックアップしていくことで強い中小企業をつくっていく、新たな企業を生んでいく、これもスタートアップ施策の重要な点」
次のテーマは子育て支援、それぞれ具体的な政策提案がありました。
(元副知事 大村 慎一氏)
「子育て支援策と一口に言いますが、これは幅広い、例えば、教育、医療、福祉、雇用労働、様々な分野にまたがっています、私からいいますと、今の静岡県庁の体制はまだ“縦割り”感があると思います、ですので そのために、子育て支援策を推進する新たな組織を立ち上げたい、全庁横断型の組織を構築した上で総合的に取り組んでいく、これが重要だと思います」
(前浜松市長 鈴木康友氏)
「静岡県は35人学級を推進していますが、私は市長時代、小学校低学年の30人学級を実現いたしました、なぜかと言うと、幼稚園・保育園から小学校にあがるときに小一ギャップが生じる、これが不登校の原因になっている、こういったことをなくすためにできるだけ一人一人目の行き届く教育を実現しようということで少人数学級の取り組みをしてきました。いろいろやってきた取り組みを これから全県に広げて子育て世代を支援していきたい」
(共産党県委員長 森 大介氏)
「若い世代の人が静岡県で安心して子育てできるように3つのゼロを実現したい、一つは18歳以下の医療費の完全無料化、2つ目に小中学校の学校給食の無償化、3つ目に国民健康保険料の子どもの均等割を無料にする、これを実現したい」
最後はリニア問題です。大村氏、鈴木氏はともに推進のスタンス。
(前浜松市長 鈴木康友氏)
「ちゃんと静岡県にメリットがあるような交渉をJR東海としていく必要があると思います。リニアができるとどうなるか、のぞみの大半がリニアに移行されます、ということは こだま、ひかりの本数が増えていく、これは自然の成り行き、JR東海も認めています、ですから、どれだけ本数が増えるか、どれだけ静岡県にメリットがあるようにしていくのか、こうした交渉をやっていかないといけない」
大村氏はフリップを使ってリニア問題の考え方を説明。鈴木氏同様、静岡県のメリットを引き出すことが必要と述べ、さらに早期解決を明言しました。
(元副知事 大村 慎一氏)
「そして最後に1年以内に この問題について結果を出したいと思います、早期解決5つの約束であります」
一方、森氏はコロナ禍で社会のリモート化が進み、リニアのニーズは薄れているとリニア建設の中止を訴えています。そして大村氏に質問も。
(共産党県委員長 森 大介氏)
「大都市は栄えるかもしれないが、その分 他の地域は過疎化、衰退が進む懸念があります、その点についてどう考えているのか」
(元副知事 大村 慎一氏)
「人口減少社会の中でリニアがなぜ必要なのか、これを答えるのは事業者自身の責務だと思います、ただ考えられるのは、静岡県は立地性がある東京名古屋大阪のベルトラインの中にある、結果的に両側が栄えるということは静岡県にメリットがあることは想像がつきます」
出馬表明後、初めての論戦を終えた3人。知事選の告示は来週9日に迫っています。