深刻な後継者不足 麺を仕入れる飲食店が一念発起 老舗の製麺会社が再出発 北海道
後継者不足で廃業を考えていた北海道東川町の製麺会社が新しい形で再出発しました。
長年にわたり愛されてきた味を受け継いだのは、その麺にほれ込んだマチの飲食店でした。
道産の小麦と大雪山の湧き水で打たれたうどん。
道北の東川町で70年以上愛されてきた味です。
(山﨑記者)「つるつるとしたのどごしと、もちもちとした食感がたまりません。噛めば噛むほど小麦の風味も口いっぱいに広がります」
製造しているのは、東川町で70年以上続く老舗の「羽衣製麺」。
ことし1月、先代の後を継いだ藤田忠志さんが毎朝6時半から麺をつくっています。
(羽衣製麺を譲り受けた 藤田忠志工場長)「いままで作ってきた羽衣製麺の味をそのまま変化なく続けるのが僕と社長の思い」
1950年に創業した羽衣製麺。
70年以上にわたり、地元や旭川近郊の“飲食店向け”にうどんやラーメンなどの麺を製造してきました。
長年にわたり親しまれてきた羽衣製麺でしたが、先代の久保さんが82歳と高齢にー
後継者も見つからず、実は去年いっぱいでの廃業を決めていたといいます。
(先代 久保尚義さん)「もう80を超えて体力もないし、病気にかかったんです、その時にもうだめだと」
深刻化する中小企業の後継者不足。
道内では後継者不在率が68.1パーセントと、全国でワースト4位となっています。
(北海道事業承継・引継ぎ支援センター 新宮隆太さん)「どんな課題があるのかというと、小規模事業者・個人事業主の経営者が、自分の会社にそれほどの価値があるということを理解していない」
東川町で愛されてきた味を守ろうと立ち上がったのが、麺を使ってきた町内の飲食店でした。
札幌のコンサルティング会社と合同会社を設立して事業を承継したのです。
道産小麦を独自の配合でブレンドした自慢の麺は、いまもマチの人の胃袋を満たしています。
(来店客)「まちの伝統を残すのは大事なのかなって」
(来店客)「そのまま続けておいしいものを残してほしい」
羽衣製麺では創業以来初めての流通商品として、生麺の販売も決定。
来月1日からホームページや道の駅などで販売する予定です。
(羽衣製麺を譲った 久保尚義さん)「麺の後を継いでくれるのは私にとって最高の幸せ」
(羽衣製麺を譲り受けた 藤田忠志工場長)「原点はこのレシピ。ここをぶらさず今までのお客さんにずっと変わらないねというスタンスでいけたら」
事業主を変えて受け継がれているうどん。
変わらない味を守りながらも新たな事業への挑戦がはじまります。