費用は水道光熱費のみ 無料のドリンクバーも 人手不足の介護職 北海道でも人材獲得競争が激化
人材獲得競争が激しさを増しています。
深刻な人手不足が叫ばれる介護業界では、あの手この手で人材の獲得や離職を防ぐ施設の取り組みが広がっています。
北海道岩見沢市の老人ホームで高齢の女性を介助していたのは、ミャンマー人のイ・ナンさんです。
技能実習生として働きながら介護技術を学んでいます。
この施設では現在、ナンさんを含めて6人のミャンマー人技能実習生が働いています。
背景にあるのが、深刻な人手不足です。
少子高齢化が進むなか、道内では今後、必要な介護職員数が増加する一方、職員数はむしろ減少するとみられていて、2040年にはおよそ4万人の不足が予測されています。
こうした中、この施設では将来的な人手不足に備え、おととし初めて外国人の技能実習生の受け入れを開始。
言葉や文化の違いなどを職員間で共有し、働きやすい環境をつくっているといいます。
さらに生活面ではー
(イ・ナンさん)「ここが会社に用意してもらった家です」
住居は施設側が賃貸契約した職場近くの一軒家。
家具や家電のほか、交通手段としての自転車も用意されていて、費用は水道光熱費のみという手厚いサポートです。
(イ・ナンさん)「広いし職場も近いし行ったり帰ったりとても便利です。困ることがほかの人よりもないです」
(社会福祉法人クピド・フェア 佐野史典施設長)「日本に来てよかったなと思えることをたくさんつくってもらえたら、それが定着につながる」
一方、江別市の老人ホームではー
利用者の女性と談笑するのは、ことし新卒で採用された職員です。
教育に時間がかかるため、新卒採用をしない施設も多いというなか、この施設では職員の9割以上が新卒採用。
多くの就活生を惹きつける背景にはこんな取り組みがー
(北海道友愛福祉会 市川茂春理事長)「こちらがスタッフ専用の休憩室です」
開放感があり、白を基調としたカフェスペース。
職員から「カフェのような空間がほしい」と要望があり、休憩室を改装したといいます。
無料のドリンクバーも好評です。
(職員)「会議の前にみんなここで1杯ずつ持って会議できるので、ありがたい」
さらに毎年、最大で7連休の「リフレッシュ休暇」を取得することができます。
働きやすい環境を整備したことで、過去10年の離職率は5%ほどにとどまっているといいます。
(北海道友愛福祉会 市川茂春理事長)「思いやりがないとできない仕事なので、せめて職場が楽しい場所であってほしいという思い」
高齢化が進むなか、人材獲得競争が激しくなる介護業界。
あの手この手の模索が続きそうです。