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【特集】北陸新幹線が福井県延伸 新潟・上越妙高駅前で起業支援 広がる可能性《新潟》

2024年4月7日 21:01
【特集】北陸新幹線が福井県延伸 新潟・上越妙高駅前で起業支援 広がる可能性《新潟》
上越市や糸魚川市を通る北陸新幹線が3月、石川県・金沢駅から福井県・敦賀駅までつながりました。この延伸をチャンスとして新幹線を軸に地元を盛り上げようとする人たちがいます。彼らが集まり、新たなビジネスチャンスが生まれる”スタートアップ拠点”をのぞいてみました。

上越妙高駅前の「フルサット」

北陸新幹線の上越妙高駅。その西口には扇状に並べられたコンテナがあります。

一つ一つが店舗や事務所。

雪の多い上越地域で見かける「雁木」のような屋根でつながる「フルサット」です。

「新幹線が走っていることをいかす」

フルサットを運営 北信越地域資源研究所 平原匡 代表
「新幹線が走っていること自体が 地域のアイコンですね。地域を発信するために必要なツールになりますので、新幹線が走っていることをいかす」

新潟県内は上越妙高と糸魚川に駅

2015年に石川県の金沢駅まで開通した北陸新幹線。

関東と北陸を結び、新潟県内では上越妙高と糸魚川に駅があります。

フルサットは北陸新幹線が開業した翌年にオープンしました。

起業を目指す人の交流の場に

フルサットを運営 北信越地域資源研究所 平原匡 代表
「当初は飲食店の皆さんが集まってスタートした飲食店街だったんですけど、皆さんそこで創業・起業した人もいたということで、何か始めたい人が集まってくる場所になってきたということですね」

この日、集まっていたのは新しくビジネスを始めようと考えている人たち。

参加者
「上越市で看護師をしています。色々他にやってみたいことなどありまして、今企画しているのはギター教室」
「この地域の多様な人たちとつながりながらこの地域を面白く、そして子どもたちが生きやすい地域づくりをしていきたいなと思ってきょう色々な方とお話をさせていただきたいなと 思って来ました」

ランチを食べながら、起業を目指す人同士の交流の場として月に1回、集まりが開かれています。

フルサットのつながりから生まれたビール製造

この”スタートアップ拠点”から生まれた事業もあります。

上越妙高駅から徒歩10分の「Gangi Brewing(ガンギブリューイング)」。

醸造責任者の綿貫卓人さんは上越市の出身で、Uターンで地元に帰ってきました。醸造所を設置し、去年8月からクラフトビールの製造を始めました。

Gangi Brewing 醸造責任者 綿貫卓人さん
「アルコール度数を高くしないのが僕のこだわりでアルコールが高くなくてもクラフトビールの味わいとか香りとか個性的な部分を飲んでもらう人に伝えてクラフトビールは面白いなって。 ビールってこんな飲み物なんだというのを伝えられればいいなというのが僕のベースです」

定番5種類と期間限定商品

醸造所にはクラフトビールを味わうことができるスペースも併設。ガンギブリューイングでは定番の5種類のクラフトビールの他に期間限定の商品も用意していて、季節ごとに異なるビールも味わうことができます。

訪れた人
「うまい。みんな好きなものが選べると思う」

綿貫さんと一緒に醸造所を立ち上げた宮本正裕さん。

初めは上越妙高駅周辺を想定していなかったといいますが。

「新幹線の駅が近いのはアドバンテージ」

Gangi Brewing 代表 宮本正裕さん
「山と町と海の3つの要素がそろってそれが分離していなくて連続的につながっているのが他の地域にない場所だと感じています。新幹線の駅が近いのはアドバンテージであったなと感じています。まだまだ駅で1日楽しむような場所、買い物を楽しむ場所、ご飯を楽しむ場所が不足しているなと思います」

駅周辺商業用地の利用状況は

駅周辺の商業用地9万6000平方メートル。

このうち8割以上が利用されていますが、訪れた人の滞在時間を増やす施設は限られています。

伸び悩む乗車人数

さらに、こちらは上越妙高駅の新幹線の乗車人数の推移です。

開業以降、1日約2000人と横ばいが続き、コロナ禍もあり、伸び悩んでいます。

北陸新幹線が福井県敦賀駅へ延伸

そうした中、3月16日に北陸新幹線が福井県の敦賀まで延伸し、関西との距離が近くなりました。

宮本さんたちは上越地域を盛り上げる新たなビジネスチャンスととらえています。

Gangi Brewing 代表 宮本正裕さん
「自分たちがいることによって駅に降りる動機の一つになるかなと思いますので、そこに少しでも貢献できたらと今は考えています」

延伸を記念したイベント「フルサット市」

その翌週の3月23日。

フルサットでは、北陸新幹線の延伸を記念して「フルサット市」が開かれました。

Gangi Brewing(ガンギブリューイング)がクラフトビールの醸造を始めて半年。少しずつファンも増え始めています。

クラフトビールを飲んだ人
「広島から始発で来ました。北陸新幹線で。めちゃくちゃ楽です。(ビールは)おいしいです」

フルサットを運営する平原匡さんは、上越妙高駅周辺でつくるクラフトビールが地域の名物になるととらえています。

フルサットを運営 北信越地域資源研究所 平原匡 代表
「これから缶(ビール)の発売を目指している、そうすると新幹線の駅中で買ったものをそのまま飲んでもらうのもできる。ビジネスのステップからすると新幹線に向けた発信はいいイメージを持てる場所だと思う」


約20の新規事業が誕生

駅前の「フルサット」、ここの”スタートアップ拠点”を一つのきっかけにして、これまでに約20の新規事業が誕生したといいます。

そして、コロナ禍で落ち込んだ客足が回復傾向にある中で、福井までつながった北陸新幹線。さらなる飛躍へ絶好の機会です。

Gangi Brewing 代表 宮本正裕さん
「せっかく降り立ったところが面白いともう少し深く行ってみたいというモチベーションになるかと思いますのでそういう役割を担えたらなと思います」

「北陸4県」で連携を

フルサットを運営 北信越地域資源研究所 平原匡 代表
「北陸全体がつながるための一つのきっかけがこれで生まれたと思いますので 北陸3県じゃなくて北陸4県に新潟も入れてもらってみんなで連携していくことが大事かなと思いますね」

新幹線が地域にもたらす経済効果。

延伸したこのチャンスを逃さないよう取り組みは始まっています。


2024年3月29日「夕方ワイド新潟一番」放送より