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【特集】営業終了する地下街「西堀ローサ」 老舗レコード店を訪れる常連客の思い レコードでたどる大切な思い出《新潟》

2025年2月16日 17:52
【特集】営業終了する地下街「西堀ローサ」 老舗レコード店を訪れる常連客の思い レコードでたどる大切な思い出《新潟》

ことし3月で営業を終了する新潟市古町地区の「西堀ローサ」。その一角には長年愛され続ける老舗のレコード店があります。 残りわずかとなった地下街での営業。 別れを惜しむかのように連日多くの人が訪れています。レコードには1枚1枚に大切な思い出がありました。

西堀ローサのレコード専門店

3月の営業終了が迫り、開店の時間になってもシャッターの多くは下りたまま。

それでも、きょうも元気にオープンする店がありました。 西堀ローサに店を構えるレコード店「KINGKONG(キングコング)」です。

所狭しと並ぶレコード

昭和の歌謡曲に青春時代を彩った名曲。懐かしいレコードが所せましと並びます。

「地下街はプラスな感じだった」

店長の長井瞳さんです。

KINGKONG店長 長井瞳さん
「寒い新潟で地下街ってすごくプラスな感じがしてたので、それがなくなっちゃうのが、ただただ残念」

流行の発信地だった「西堀ローサ」

かつては流行の発信地として多くの若者などでにぎわった西堀ローサ。 時代とともに人の流れは変わり、3月いっぱいで約半世紀の歴史に幕を下ろします。

KINGKONGは30年ほど前、新潟市中央区にあった商業施設「カミーノ古町」で営業を始めました。

しかし、古町エリアの商業施設が次々と閉店、そのたびに移転を繰り返しました。3か所目となったローサでの営業も残りあとわずか。 客やレコード地下街での別れを惜しむかのように店には多くの人が足を運んでいます。

昭和アニメのレコード

創業当時から訪れているという常連客が店を訪れました。

常連客
「これもよく見ていた」

昭和アニメのレコード。思い出を語りますが、主題歌がどうしても思い出せません。

その時、取材で撮影していた同世代のカメラマンが。

カメラマン
「おれ知ってるけど、主題歌。マッハロッドでブロロロロー、ブロロロロー」

次に見つけたのは……。

平成の初めに活躍したアイドル

常連客
「この子も知っています」

記者
「誰ですか?くにみ?」

常連客
「国実百合、俺知ってる。昔、万代シテイとかに来てて」

平成の初めに活躍したアイドルです。
万代シテイで開かれたライブ。
胸をときめかせ会場に。

「ちょっとさみしい」

当時からアイドルの追っかけをするのが生きがいで、新潟に来た際には必ず駆けつけていたといいます。

懐かしい当時のメロディ。

常連客
「若返るというか。ローサが出来たのが私が中学生の頃ですから。ちょっとさみしいけど」

妻と出会った頃の記憶がよみがえる

海外のお客さんの姿も。

店を訪れていたフランス出身の男性、妻は日本人だといいます。 思い出の曲がありました。

フランス人客
「ビートルズ。妻とロンドンで出会ったので思い出の曲です」

夫婦で支え合いながら新潟で暮らしていますが、この曲を聞くと妻と出会った当時の記憶がよみがえってくるといいます。

「アプリにない曲が見つけられる」

店でじっくりとレコードを探す若者の姿が。

記者
「どんなものを探しているのですか?」

高校2年生
「ハウスとかテクノというジャンル」

音楽を聴くことが大好きな高校生。中学の頃にレコードにハマり、自宅には200枚以上のレコードがあるといいます。

高校2年生
「触れるのと、スポティファイとかアプリにない曲が見つけられるのがいいですね」

「ここでずっと続けてもらいたかった」

月々のお小遣いを貯め、西堀ローサに来ることがいつしか日課に。

勉強で行き詰った時などにレコードが気持ちを落ち着かせてくれました。

高校2年生
「地下なので秘密基地感がありますね。できればここでずっとお店続けてもらえたらなって思ってはいます」

古町6番町商店街へ移転することに

この地下街で営業を続け13年。

少しづつファンを増やしてきたKINGKONG。

古町6番町商店街に移転することを発表しました。

KINGKONG店長 長井瞳さん
「これまでずっと長く来ていただいてる常連のお客様がたくさんいるので、その皆さんと一緒に下から上にあがっていく。古町がいいんじゃないですかね」

店長の思い出のレコードは

20代の頃、神奈川県から古町にやってきた長井さん。

KINGKONG店長 長井瞳さん
「思い出のレコードは新潟に来てから好きになったNegiccoが一番ですね」

新潟での生活を勇気づけてくれた

右も左も分からない新潟での生活を勇気づけてくれたのがNegiccoだったといいます。

KINGKONG店長 長井瞳さん
「パワーをもらえるというか、ローサがなくなるという報道があった時にリーダーの“Nao☆ちゃん”がすごく心配して連絡をくれたりして、思い入れがあります」

レコードと過ごした青春時代

雪が降り始めた午後。

クラシック音楽のコーナーにレコードを眺める男性がいました。

70代男性
「マルタ・アルゲリッチですね。ものすごく有名です!夜のガスパール。素晴らしい曲、20世紀の」

まだ西堀に“堀”があった頃、名曲喫茶に足しげく通いレコードと共に青春時代を過ごしました。

70代男性
「サブスクとかいろいろな形で気軽に聞けるでしょうけど、(レコードは)それとは全然別の魅力があるというのを若い人にも発見してもらいたい」

店は移転して残る「よかった」

時代の移り変わりとともになじみの店が少しづつ姿を消し、古町エリアのレコード店も今ではここだけに。

店の今後を心配していたといいます。 お店は移転して残ると聞いた男性は。

70代男性
「それは本当によかった、若い人にどんどん来てもらいたい、見るといいでしょ、楽しいよね、見るだけでも」

色あせることない思い出とレコード

色あせることのない思い出とレコード。

KINGKONG店長 長井瞳さん
「わざわざ来ましたという言い方をされる方がとても多い、それってすごくありがたい。わざわざ古町に来てそれで大満足して帰っていただけるエリアになったらいい。地上もいいんですよ」

たとえ時代が変わったとしてもその魅力は変わることはありません。

これからも古町で。そして、この先も。


2025年2月7日「夕方ワイド新潟一番」放送より

最終更新日:2025年2月16日 17:52