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全国的に感染拡大の「手足口病」 記者が経験した1歳3か月の娘の看護 症状が改善するまでの経過は 《新潟》

2024年7月25日 20:30
全国的に感染拡大の「手足口病」 記者が経験した1歳3か月の娘の看護 症状が改善するまでの経過は 《新潟》

この夏、全国で感染者が爆発的に増えている「手足口病」。
県内でも警報が出される中、魔の手はついに我が家(TeNYテレビ新潟・30代女性記者)にも……。

手足口病に感染したら、どのような経緯をたどるのか……
我が家の娘(1歳3か月)の記録です。

「ついに、出ちゃいました…」

「ついに、出ちゃいました…」

7月上旬、1歳3か月の次女・りんりん(仮名)を保育園に預ける時のことだった。
保育園の先生が発したこの一言で、すぐに状況を理解した。
    
《保育園の先生》
「お友達が手足口病にかかって……2人も……」

手足口病の流行が、ついにわが娘の保育園にもやってきたのである。

手足口病とは

「手足口病」とは、乳幼児を中心に夏季に流行するウイルスの感染症だ。
(※画像提供:国立感染症研究所)

感染するとその名の通り、口の中や手足に水疱性の発疹が出るのが特徴で、厚生労働省によると全体の約3分の1が発熱する一方、高熱が続くことはあまりなく、数日間のうちに治癒する疾患と言われている。

その手足口病の患者が、いま爆発的に増えている。
新潟県の一医療機関あたりの患者報告数(7月15日~21日)は19.31人と国の定める警報基準(5人)を大きく上回っている。

2019年並みか

手足口病について県内の過去5年間の記録を見ると、もっとも流行したのが2019年だ。
県がまとめた資料によると、1医療機関あたりの患者報告数は2019年の30週(7月22日~28日)に22.51人ともっとも多くなっている。

グラフを見てわかるように、ことしはこの2019年と並ぶ勢いで感染者数の増加が続いているのだ。(画像提供:新潟県保健環境科学研究所)

魔の手はついに我が家にも……

異変は保育園で感染者が確認された翌日のことだった。

《保育園の先生》
「きょうりんりん、あまりごはん食べなくて……。あとお熱も37度3分と少し高かったです」

心配そうに娘を引き渡す先生。

そして……

《保育園の先生》
「この発疹、前からありました?」

見ると娘の二の腕にプツっとした赤い発疹が。
言われなければ見落とすほど小さな発疹……。

《私(記者)》
(どうか虫刺されでありますように)

しかしその夜、娘の熱は37度9分まで上昇。
私の願いはむなしく、娘は「手足口病」にかかったのだ。

発疹確認から2日目~3日目 発疹増えるも熱は高くない

二の腕にプツっとした赤い発疹が見つかった翌日から翌々日にかけて、尻、足、手、顔に発疹が見る見るうちに広がっていった。
よく見ると足の裏や手の甲にも出ている。

一方、熱は出ていても37度~37度5分の微熱程度でそこまで高くはない。

長女は手足口病にかかったことがなかったため、私が手足口病の看病をするのは今回が初めて。

手足口病に特効薬はなく、特別な治療方法はないというので、水分補給に気を付けながら自宅で様子を見ることにする。
食事もとるし、睡眠も十分。機嫌もよく「こんなものか」と思っていた。

が、それは間違いだと気づかされたのは発疹が出て3日目の夜だった。

スイカしか食べない

好き嫌いがなく、給食も毎回おかわりする食に旺盛なりんりんが、突然ご飯を食べなくなった。

スプーンを口元に持って行っても「イヤイヤ!」と顔を左右に振り、目の前に出されたスプーンを手で押しのける。
みそ汁、ごはん、おかずにほとんど手を付けず、唯一少しだけ食べられたのはデザートの「スイカ」だ。
手足口病は口の中にも発疹ができるというが、破れて痛みが出ているのかもしれない。
出来ることなら代わってあげたい……。

ひどい夜泣き

寝る時間になるといままでに無いほどぐずった。
まだ「ママ」しか言えないりんりんは痛いやかゆいを言葉で訴えることができない。けれど明らかに何かを訴えている。
寝かしつけても20~30分で目が覚め、「ギャー!」と泣き始める。
結局、朝までそんな状態が続き、親子ともども疲労困憊で朝を迎えた。

発疹確認から4日目 発疹が破れて……

翌朝。
燃え尽きて真っ白な灰になったかのような私だったが、当のりんりんは少し元気が戻ったようだ。
それでもやはりいつもより食が細い。
朝ごはんは、いつもの3分の1ほどの量で「ごちそうさま」をした。

かわいそうだったのがおむつ替えだ。絶叫するので尻を確認したら、猿のように赤い。
肛門付近に多数の水泡ができ、ただれている。見るからに痛そうで私の心はきゅっとなった。
お湯で濡らしたタオルで優しく尻を拭いてやる。

手足口病は飛沫や便などを通じて感染することがわかっている。
大人も感染するため、世話をする都度、石けんと流水で手をよく洗ったし、長女にもいつも以上の手洗いを意識するよう言い聞かせた。

食欲回復 熱なし

赤い尻に泣いたおむつ替えの後、体力を取り戻すかのように4時間の長い昼寝をし、見違えるほど元気になった。

昼食は熱いものや辛いものを避け、冷ましたみそ汁にご飯、甘さを控えたヨーグルトを与えると完食。ヨーグルトはおかわりも。食欲が戻って一安心である。

発疹確認から5日目 登園

発疹確認から5日目。発疹はあるが熱はなく食欲もある。
りんりんの保育園での登園基準は「熱がなく食欲があり、集団生活が過ごせると医師が判断した場合」と決められているので、まず病院へ行くことに。

医師から状態を確認してもらい、保育園へ登園することができた。
医師によると回復後も、2週間から4週間にわたり便の中からウイルスが排出されるというので、プール遊びは一時お休みすることになった。

子どもだけでなく大人がかかることもある手足口病。
娘の感染から10日以上が経つ現在も看病をした私に症状はない。

しかし、かかっても無症状のこともあるということで、もしかしたら、うつっているかも、と思ったりもする。
我が家の場合、軽症という診断だったが、場合によっては髄膜炎や脳炎などを引き起こすこともあるという。

症状がある・ないに関わらず、感染を広げないよう、子ども・大人問わず、石けんを使った手洗いの徹底が重要ということだ。

県が予防方法として、以下を呼び掛けている。
・食事の前、遊んだ後、トイレの後、帰宅後など、普段から石けんと流水による手洗いを行う。
・オムツ等の処理の際は、排泄物が周囲につかないように注意し、処理後はしっかりと手を洗う。
・タオルの共用は避ける。