【値上げ】新潟市24年ぶり 水道料金を値上げへ 人口減少時代の水道事業 課題とは ≪新潟≫
私たちの生活に欠かせない「水道」。
いま全国で水道料金の値上げが相次いでいます。新潟市も来年1月に24年ぶりに水道料金を値上げします。
背景には水道事業が直面している深刻な課題がありました。
毎日のように使う「水道」
新潟市はこの水道の料金を来年1月1日から現行から平均29%値上げすると発表しました。
2001年以来24年ぶりの値上げです。
■水道料金の値上げは「ちょっと痛い」
〈家族住まいの人〉
「困る。家計を支える身としては困る」
〈一人ぐらしの人〉
「ちょっと痛いです」
水道事業にかかる費用は主に私たちの水道料金で賄われています。
人口減少により料金収入は年々減少、一方で物価高などを背景に維持費や工事費は年々増大。
このままだと赤字が継続する見通しです。
支出の中で大きいのが老朽化した水道管の入れ替えです。
一つの工事で高いものだと1億円以上かかるといいますが、いま新潟市は、水道管の交換に迫られているといいます。
その理由が……
〈新潟市水道局 技術部 清水雅之さん〉
「60年前新潟地震の復興の際に入れた水道管でございます」
1964年に発生した新潟地震。水道管が大きな被害を受け、最長45日間に及ぶ断水が発生しました。
あれから60年……
当時入れ替えた水道管がいまも新潟市中央区・東区を中心に多く埋められています。
■老朽化を放っておくと?
古い水道管を放っておくとどうなるのでしょうか
大阪府箕面市では去年、埋められた水道管が破裂・・・。
この水道管は埋められてから50年が経過していました。
(写真提供:視聴者)
■求められる耐震化
老朽化した水道管の交換とともに求められているのが耐震化です。
1月の能登半島地震で石川県では水道管にも大きな被害が出て漏水が多発しました。
〈新潟市水道局 川瀬悦郎技術部長〉
「古い管がいたるところで抜けたり、割れたり」
「ここまでひどく地震による被害が目に見えて見える地震は初めてでした」
現地で水道復旧に携わった新潟市水道局の川瀬悦郎技術部長です。
「施設・水道管の多くが 耐震化されていなかったのが、被害が大きくなった原因ではないか」と話します。
■従来の管と耐震管
そこで用意してもらったのは水道管の縮小模型です。
左が従来の水道管、右が耐震性を高めた「耐震管」と呼ばれるものです。
どのような違いがあるのでしょうか。まずは従来の水道管です。
〈新潟市水道局 川瀬悦郎技術部長〉
「地面が動いてしまうとすぽんと抜けちゃう場合もあります」
一方、耐震管は……。
〈新潟市水道局 川瀬悦郎技術部長〉
「激しく動いても引っかかって抜けないんですね。動く余裕がありますので地盤が動いても管路が地盤と一緒に動いて壊れない」
石川県七尾市では浄水場の一部が崩落し漏水が発生。
断水は長期間に及び、七尾市ではおよそ3か月間、珠洲市では発災からまもなく半年となる現在も970戸が断水しています(6月19日現在)。
被害にあったのはほとんどが耐震化されていないものでした。
■「耐震管・耐震化は重要」
〈新潟市水道局 川瀬悦郎技術部長〉
「(能登は)あれほど大きな揺れがあっても耐震管はほとんどが無事でしたので改めて耐震管・あるいは耐震化を進めていくことは重要だと思います。」
大量の水を運ぶ重要な水道管の「基幹管路」。
新潟市内の基幹管路の耐震適合率はおととし時点で67.9パーセントで
全国平均の数字を大きく上回っていますが、それでも3割以上は耐震化されていません。
料金収入も減り、工事に携わる人手不足も深刻だという水道事業。
安心安全な水をこれからも届けるために限られた資金とマンパワーでどのように水道管の入れ替えを進めていくのか難しい課題に直面しています。