×

「やめないでほしい」子どもからは切実な声 “全中“縮小で水泳など9競技が除外へ #令和の子

2024年7月25日 17:11
「やめないでほしい」子どもからは切実な声 “全中“縮小で水泳など9競技が除外へ #令和の子

中学校の部活動を取り巻く環境がいま大きく変わろうとしています。
生徒が活躍できる舞台を守るために、どんな対策が必要なのでしょうか。

■縮小される全中の競技

今年6月、中体連(日本中学校体育連盟)が中学生の全国大会、“全中”の規模を3年後の2027年度から縮小すると発表しました。

全中では現在バスケットボールや陸上、サッカー、軟式野球など20の競技が行われていますが、2027年度以降は水泳や体操、相撲など8競技が、2030年度以降にはスキーが除外されます。

■背景に教員の働き方改革や少子化など

部活の設置率が20パーセントを切っていた競技が原則として対象となっていて、教員の働き方改革や少子化などが背景にあるといいます。

放課後、新潟市内の中学生や高校生が通うスイミングスクールでは授業を終えた生徒たちが全国大会を目指してトレーニングを行っています。

“全中”から、水泳が除外されることについて。

<中学生は>
「みんなが目指してきた大会だから、やめないでほしいと思いました」

「中学生みんなが全国大会を目指せる別の大会を作ってほしいと思います」

<ジャンボスイミングスクール 竹村悠司コーチ>
「水泳も入るのかと思いつつでも部活動として活動している学校が少ないので仕方ないというところもあり残念な気持ちですね」

■全中に代わる大会を検討

東京オリンピックの金メダリスト大橋悠依選手や、池江璃花子選手など多くのオリンピアンも出場経験のある“全中”。

今後、日本水泳連盟は全中に代わる大会を検討するとしています。

指導する竹村悠司コーチ、
中学生が活躍できる舞台は高校への進学のためにも欠かせないといいます。

<ジャンボスイミングスクール 竹村悠司コーチ>
「全国中学(全中)に出場するレベルに到達していると、強豪校からも見てもらえると思いますし、進学のプラスアルファになることは間違いないと思います」

■相撲も

一方、相撲も…。
糸魚川市にある相撲の強豪・県立海洋高校、
ここで高校生とともに稽古する地元の中学生も全中の縮小に動揺しているといいます。

<中学生は>
「全中は特別な場所だと思うので、さびしい」
「いま相撲界が沸騰しているのに、もったいないと思います」

■「部活の地域移行」

大きな転換機を迎えている部活動。
これまでは学校で顧問の教員が指導していましたが、近年は放課後、地域のクラブなどに場所を移して指導を受ける「部活の地域移行」が進められています。

■保護者は

中学校から遠い場合は、保護者などが送迎することも…。

<保護者>
「住んでいる場所もそうですし(部活の)地域化によって保護者の負担も増えてくると、できる家庭できない家庭も出てくると思うので」

■学区外、県内外問わず

強豪・海洋高校がある上越・糸魚川エリアでは早くから“部活の地域移行”へ舵を切ってきました。

<県立海洋高校相撲部・田海哲也総監督>
「部活動が日本のスポーツの底辺を支えていたというのはもう昔であって、糸魚川を拠点にしてしっかりと練習会をしていこう。学区外、県内外問わず相撲やりたい人は練習会やりますよ」

■県内全域から生徒が練習に

海洋高校で指導する田海哲也さん。

3年前にクラブチーム新潟総合相撲クラブを立ち上げ、新潟市や新発田市、魚沼市など県内全域から中学生が練習に参加…。
ことしの全中団体戦にはクラブチームとして出場します。

■地域移行のメリットは

5月の大相撲夏場所で優勝した「大の里」は、中学・高校の6年間、田海さんのもとで力をつけました。
中学時代には全中で、準優勝に…。

部活の地域移行について、田海さんは選手の送迎や環境の整備そして指導者の確保など地域で育成する仕組みができれば中学・高校の6年間を一貫して指導できるメリットがあるといいます。

<県立海洋高校相撲部・田海哲也総監督>
「何で中学校は夏前に(部活が)終わってしまうのかなと。人間“差”なんかないですけど、6年間しっかりしたカリキュラムで教えられれば頂点の景色を見せてあげられるかな」

大会では大の里の後輩にあたる中学3年生の関璃恩選手と1年生のトゥブシンボルド選手が勝てば全中への出場が決まる準決勝で対戦、しなやかな身のこなしで関選手が3年生の意地を見せました。

<関璃恩選手>
「負けるか負けないかの危ないところで自分が良い動きをできてよかった。全中ではもっと力を出して頑張りたいです」

<トゥブシンボルド選手>
「腰が高かった。練習して全中までにもっと強くなる」

指導する田海さん、県相撲連盟の理事長として地域や他県とも連携し定期的に大会や練習会を企画しているほか、子ども向けの「相撲教室」を開き普及に努めています。

守りたいのは子どもたちが活躍のできる舞台です。

<県立海洋高校相撲部・田海哲也総監督>
「子どもたちが地域移行するには大人の力が必要で、全中がなくなることによって自分たちのフィールドがなくなることはないので、私たちも頑張りますし中学生も希望を捨てず取り組んでもらいたい」

全中の縮小に…部活の地域移行…。
変わりゆく環境のなか、子どもたちが輝ける場所をどう確保するのか。
行政や地域のさらなるサポートが必要となりそうです。

※この記事は、TeNYテレビ新潟とYahoo!ニュースによる共同連携企画です。