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【特集】廃校となる小学校で最後の米作り授業① 岩手・九戸村

2024年10月8日 15:32
【特集】廃校となる小学校で最後の米作り授業① 岩手・九戸村

 少子高齢化に伴って学校の数は減り続けています。岩手県内の小学校の数は20年前の2004年度は本分校合わせて461校でしたが、2023年度は269校と200校近く減りました。

 こうした中、九戸村では来年度5つある小学校が1校に統合されます。廃校となる学校のひとつ江刺家小学校では、30年近く続いてきた農家による米作りの指導が今年で最後となりました。

 今年5月、九戸村にある小井田重雄さんの畑に子どもたちの歓声が響きました。

江刺家小児童「よろしくお願いします」

小井田重雄さん
「はい ご苦労さん。みんなが種をまいたのがあんなに大きくなったよ。近年にない いい苗っこになった。苗は上に引っ張るのではなくて自分の手前に根元をビシッと、土と苗のちょうど筋際というのか生え際の所びゅっと手前に引っ張るのだ。手前に引っ張らないと途中で切れちゃう」

 小井田重雄さんは1996年、28年前から毎年、自分の畑と水田で江刺家小学校の児童たちに米作りを教えています。

記者「校長先生はこういう作業をしたことはありますか?」

髙橋雄賢校長「全くないです。ここに来てからですよ、小井田さんがみんなにやさしく教えてくれるので、子どもたちと覚えてます。6年生は社会で歴史を習うので子どもたちは歴史を習うとき縄文時代から習うから、弥生時代になると米作りが伝わってきたということを習うので、子どもたちの学習にはすごくつながっていると思います」

 創立149年の江刺家小学校の児童数は、6学年合わせて29人です。この学校では米作りを中心に食べ物の教育、食育に熱心に取り組んできました。また、パソコンを活用した授業にも熱心に取り組んでいます。来年、九戸村内の5つの小学校は1校に統合されます。

記者「先生はこちらに来て何年目ですか」
髙橋校長「3年目です 慣れましたね3年だとさすがに。でも残念ですよね」
記者「今年で終わりということですか」
髙橋校長「今年で終わりというのは残念です、やむをえませんが」
記者「余計丁寧にやらなくてはいけませんね」
髙橋校長「そうです」

 子どもたちは、小井田さんの水田に移動し、3アール、およそ100坪の田んぼで田植えをします。

子どもたち「よろしくお願いします」

小井田さん
「はい よろしくお願いします。ご苦労様です。江刺家小学校の学習田で植える田植えがきょうで最後になります。数えたら28年前からやっています。平成8年の年ですので、もしかしたら皆さんのお父さんお母さん方も子どもの時に植えたかもしれません。田舎に住んでいながら、田んぼに入ったこともないということがない子どもたちに育てたいなという思いもあって始めた田植えです。秋には毎年なんだけど、餅をついてみんなでおいしくいただきたいなと思います」

 先生方が小井田さんの畑から苗を持って来てくれました。

「はい、できた?」

子ども「入っていいですか?」「入って洗って」

水路に入り「先生 怖―い」

子ども「先生 気持ちいかったです」

先生「がんばりましたね」

髙橋校長「農家の子どもたちであっても、農作業をなかなか体験しないのが今の現状のようです」

記者「そうすると余計貴重な体験になるんですね」

髙橋校長「とても大切な体験ですね、土の感触とか 土の匂いとか、子どもたちは様々五感に触れて楽しそうに活動しています」

 1時間ほどでおよそ100坪の田んぼに、もち米の苗を植え終わりました。

次回は、稲が育った様子と草取りに汗を流した子供たちの表情をお伝えします。