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京都の高校生が被災地陸前高田市訪問 地元の高校生と街の未来を考える授業に参加し見つけたことは・・・

2024年3月1日 19:57
京都の高校生が被災地陸前高田市訪問 地元の高校生と街の未来を考える授業に参加し見つけたことは・・・

 東日本大震災の被災地のいまを伝える海街リポートです。京都の高校生が、震災で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市を訪れ、地元の高校生と街の未来を考える授業に参加しました。授業を通してみつけた「大切なこと」とは…。

 東日本大震災の被災地・陸前高田市を訪れた、京都の高校生です。地元の高校生との初めての合同授業に参加しました。

 京都の高校生
「ここらへん歩いていたら、全然建物がないんですけどそれってどうしてですか。」

 震災後の街の問題をみつめよりよい未来にしていくためにはどうすればいいのか。アイデアを一緒に考え、同級生の前で発表しました。

 授業を企画した京都の教諭には、生徒に伝えたいことがありました。

 京都の先生
「今回のグループワーク、目的って認識してますか?」「悪い意味でとらないでくださいね、一言で言うとね、つまらない、何がつまらないのか…」

 みんなが気づいた「大切なこと」とは…。

 岩手県立高田高校を訪れたのは、陸前高田で震災について学びたいと手を挙げた、京都工学院高校の生徒11人です。初めての合同授業を企画したのは、京都の有本 淳一教諭です。震災の2年後から毎年、京都の高校生を連れて陸前高田を訪れています。

 有本 淳一教諭
「京都ですとか、近畿地方に住んでいますと、東日本大震災も終わった話だとか、あれはテレビの中の出来事っていうので、全然肌感覚がない、実感がない。やっぱり現場に行かないと、その場に行かないと、わからないことが世の中たくさんあるんだと、それを体験して学んで京都に持ち帰る、そして京都でその話を伝えてほしい、そんな願いからやってきました」

 京都で生まれ育った2年生の井上 結愛さんです。震災当時はまだ3歳で、遠い場所で起きた災害ということもあり、何も覚えていません。

 井上 結愛さん
「私の父が阪神淡路大震災で被災していて、母も防災関係のボランティア(活動)をやっていて幼いころから一緒に(活動)させてもらってて、今回現地に行けるというプログラムを聞いて、実際やっぱり聞いてるだけじゃわからないこともたくさんあるんで、じゃあ実際に行って、自分の目で見てみたいなと思って参加しました」

「寒い」

 授業は、グループに分かれ、京都の結愛さんは、高田高校の2年生3人と一緒です。復興した陸前高田の街を歩き、よりよい未来にするためにはどうしたらいいのか、考えをまとめて同級生の前で発表します。

 まず街の中心部へ向かいました。

 菅野温大さん(高田高)
「ここら辺ってもともと10メートルくらい本当はもっと下に街があって、それで震災があって、そのあと、かさ上げって言って土地を土でもってあげて新しく整備した町で」

 井上 結愛さん(京都)
「その時、みなさんは何をされてましたか」

  松澤竜之介さん(高田高)
「田んぼみたいなところがあるんですけど、そこにもう津波が来てて、これはやばいなと思って急いで逃げたっていう」

 刈谷葵さん(高田高)
「保育園の一部が崩壊みたいな感じになっちゃって煙突みたいなものが倒れてきて」

 京都では聞くことができなかった同世代の生の声に被害の大きさを実感し、京都の人にも伝えたいと思いました。さらに海の方へ歩いていくと…。

井上 結愛さん
「ここらへん歩いていたら、全然建物がないんですけど、それってどうしてですか」

菅野温大さん
「ここの空き地問題に目をつけている人が何人かいるんですけど、突出したアイデアっていうのがないから建てるにはなってなくて」

将来ふるさと陸前高田の街づくりに携わりたいという菅野温大さんも、賑わいのない空き地をなんとかしたいと思っています。学校に戻ったみんなは「空き地を活用して賑わいをつくるアイデア」を考えました。


菅野温大さん
「津波の被害が出ないように例えばイベント的な感じで置くとか」「でもイベントだと一時的にしか(人が)集まらないから…」

 井上結愛さん
「京都では人がめっちゃ住んでるってわけじゃなくて」「それでも(京都が)成り立ってるのってずっと観光客が来てくれてて」「空き地ばっかだから、逆に周りが明るくなくて、空とかめっちゃきれいなんじゃないかなとは思ったかな」

 菅野温大さん
「確かに…」

 育った環境が違うからこそ、気付くことがある。交流の大切さを感じました。

発表の時間です。

 他のグループからは「若者が行きたくなるような特徴的な施設を作り、住みたい街にすること」や、「震災の記憶の風化を防ぐため、SNSで情報を発信し続けること」などのアイデアが出ました。

 結愛さんたちの番です。

 松澤竜之介さん
「テーマは空地の活用についてです」

 井上結愛さん
「空地だから建物が全然ないじゃないですか、だから夜は結構やっぱり真っ暗になるんですけど、その分、じゃあ空がとてもきれいに見えるんじゃないかなと思いました。」「それで天体観測のイベントができないかなと思いました」「天体観測のイベントをするってなったら夜になるので、イベントに参加した方々は宿泊してもらったりすることになるので」「活性化につなげられるんじゃないかなと考えました」

 みんなで知恵を出し合ったからこそでたアイデアは、大きな拍手をもらいました。

 京都から生徒を連れてきた有本教諭は、授業の最後に伝えたいことがありました。

有本教諭
「皆さんの持っている力の大きさを感じました。で、今回のグループワーク、目的って、認識してますか?」「あの悪い意味でとらないでくださいね、一言で言うとね、つまらない、何がつまらないのか、普通過ぎるんです。まじめさが伝わってきます、すごく真摯に実直に考えてくれました。でもそれではもうダメなんでしょ?」「映画の世界、漫画の世界、そんなアイデア、それが僕は大事だと思うんです。だけどそれだけで終わらしたらあかんよね。、それを実現可能にするための実現可能性を考えてください」「未来を作っていくのはみなさんです、僕たちじゃないです。未来をつくるにあたっていまみなさんにできること、それを考えてほしいなと思うんです」

 みんなは、よりよい未来にするためには、考え続けることが大切だということを学びました。

 これからも陸前高田と京都それぞれの場所で成長を続けます。