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能登半島地震の「災害関連死」の死者数15人 東日本大震災は3800人 防ぐポイントは

2024年2月1日 18:40
能登半島地震の「災害関連死」の死者数15人 東日本大震災は3800人 防ぐポイントは
能登半島地震の被災地では避難生活が長期化しています。そうした中懸念されているのが、避難生活で心や体の健康状態が悪化して亡くなる「災害関連死」です。山形県内で同じような大規模地震が発生した場合も想定される「災害関連死」を防ぐためのポイントを取材しました。

能登半島地震の被災地・石川県では31日現在、8500人余りが体育館や公民館での避難所生活を余儀なくされています。
断水も続く中、避難所ではインフルエンザや新型コロナ、ノロウイルスなどの感染が拡大。30日にも、1日だけで50人以上の感染が確認されています。
地震で直接的な被害を受け亡くなったケースとは別に、感染症や持病の悪化など地震発生後の環境が影響して亡くなったケースは「災害関連死」と呼ばれ、今回の地震での災害関連死の死者数は1日現在、15人に上っています。現地では長引く避難生活に今後、災害関連死が増えることも懸念されています。

山形大学災害環境科学研究センター熊谷誠さん「直接の災害では命が助かったのにその後の避難所での生活ですとか生活再建で大変苦労されたり避難所生活の不便ですとか環境が悪い中での生活を無理に体に強いたために元々の病気が悪くなってしまうことがある」

東日本大震災ではおよそ3800人余りが災害関連死だったとされています。
国の調査では、東日本大震災の際、「災害関連死」で亡くなった人の体調悪化の原因は「避難所などでの生活の肉体・精神的苦労」が5割を占めています。

山形大学災害環境科学研究センター熊谷誠さん「一つの場所で同じ共同生活を送っていない人が一堂に集まっている。また、今の時期だと寒い。更に断水で普段清潔に使っているトイレとは違うのでトイレの汚れが気になり、トイレを我慢する。施設の問題から生活スタイルの問題につながる。やはり避難所生活をいかに負荷なく、体への悪い影響がなく、終えることが大事」

今回の地震でも被災地の避難所では、厳しい寒さや仮設トイレの少なさといった問題が避難者の心身の負担につながっていると指摘されています。避難所の床から伝わる寒さの対策として有効とされているのがベッドです。

山形大学災害環境科学研究センター熊谷誠さん「段ボールベッドなどは感染症の危険性や寒さ対策、人が歩いた場合に巻き起こるほこりを吸うことの予防や床面から距離を取ることで少しでも冷気から体を遠ざけるということで有効だと評価されている」

YBCが県内35市町村に聞き取ったところ、段ボール製ベッドや簡易ベッドの備蓄は、多いところでも人口の1割ほどの数に留まっています。
自治体の担当者からは、▼段ボールベッドの保管場所がない、▼紙製品なので長期保存で劣化する恐れがある▼災害発生後の
調達を考えているとの声も聞かれ、必ずしも備蓄が進まない要因となっています。

山形大学災害環境科学研究センター熊谷誠さん「段ボールベッドの備蓄も基本的に、全員にいきわたるかというと並べられる範囲とそこに入れる人数が決まってきて受け入れ人数を絞ることになる。避難所はサービスを受ける場所ではない。避難した人でできることでなんとかストレスを減らしながら避難生活を乗り切ってもらうことが大事」

専門家は「災害が起きる前からさまざまな課題を検討してストレスの少ない避難所生活をシミュレーションし、備えていくことが必要」と話しています。
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