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遺族「この上ないつらい調査結果」 酒田市の女子中学生自殺 再調査委「当時の教員の対応不適切」

2025年3月7日 18:10
遺族「この上ないつらい調査結果」 酒田市の女子中学生自殺 再調査委「当時の教員の対応不適切」

2021年2月に酒田市立第一中学校で女子生徒が自殺した問題で再調査委員会は7日「いじめと自殺との因果関係を認めるに足りない」とする一方、当時の教員が具体的対応を取らず不適切だったとする再調査報告書を酒田市に提出しました。

この問題は4年前の2021年2月12日、酒田一中で当時1年の女子生徒が自殺したものです。当初、市の教育委員会に常設されている第三者委員会がいじめと自殺の因果関係について調査し、2022年3月に「いじめが自殺の主要な原因であるとまでは考えないが、一定程度の因果関係は認められる」とする報告書をまとめました。
しかし、「内容が不十分」とした遺族の意向などを踏まえ、2022年10月に県外の弁護士などで構成する市長直轄の再調査委員会が改めて調査を開始。女子生徒の遺族や関係者への聞き取りを含め2月5日までに42回の会合を開いて検討し、7日、再調査委員会の栗山博史委員長が酒田市の矢口明子市長に75ページの新たな報告書を手渡しました。

矢口明子酒田市長「二度とこのようなことが起きないように再発防止を図るべく教育委員会や学校だけでなく市を挙げて対策に取り組んでいく。」

再調査委員会がまとめた公表版の報告書では、自殺した女子生徒に対し「死ね、キモい」などと書かれた紙を下駄箱に入れられたり、複数の女子生徒が無視したりにらんだりするなどいじめに当たると認められた事例が複数示されました。
一方で、小学6年生の2学期頃から「自殺したい」などと当時の担任へ手紙を書くなど死を望む気持ち「希死念慮」が続き、自分に自信を持てない不全感などが相当に大きいこと。また、自殺する前の年に書かれたとみられる遺書には、自殺の原因として勉強など、いじめ以外の要因を挙げていることなどから、「いじめと自殺との因果関係を認めるに足りない」と結論付けました。その上で報告書は「周囲から守ってもらえない」と感じる体験を繰り返したことが死を望む気持ちの高まりに結び付いたとしています。

栗山博史委員長「本件中学校の教員は本件生徒の心理的状態の危機的状況を示すこれだけの情報を持っていながら、本件生徒との個別面談すら行わず、何ら具体的対応を取らなかったものであり、不適切であったと指摘せざるを得ない」

今回の報告書について遺族の父親は「最愛の娘を失った親としてこの上ないつらい調査結果ではありましたが、それでも長い時間をかけて調査して下さいました委員の皆さんありがとうございます」とコメントを寄せました。

最終更新日:2025年3月7日 19:27