「人食いバクテリア」とも呼ばれる「劇症型溶連菌」 全国で過去最多ペースで増加 山形県内でもじわり
致死率が高いことから「人食いバクテリア」とも呼ばれる「劇症型溶連菌」感染症。全国で過去最多のペースで感染者数が急増していて、県内でもじわじわと感染が広がっています。その症状や対策などを県の担当者に聞きました。
発熱やのどの痛みなどを引き起こす感染症、「溶連菌」。子どもに多い病気で感染しても無症状なことも多く、比較的軽度です。しかし、ごくまれに重篤な症状を引き起こすのが「劇症型溶連菌」です。
初期症状はのどの痛みや発熱などから始まります。その後、手や足などに経験したことがないような激しい痛みや腫れがおきて、放っておくと「壊死」していきます。ここから病状は急速に進行し数十時間以内に多臓器不全を起こし、48時間以内に命を落とすケースがあります。致死率は非常に高く3割といわれています。
かぜのような症状から通常の溶連菌と思っていると劇症化するケースが相次いでいます。
県健康福祉企画課 本間弘樹薬務感染症対策主幹「手足の組織が壊死して切断しなければ命が助からない場合もある。それでも手遅れになり亡くなる可能性もあるため人食いバクテリアと呼んでいる」
国内の劇症型溶連菌の感染者数の推移です。2019年は894人とそれまでで最多となりましたがコロナ禍で一時は減少。しかし、おととし再び増加に転じました。そして、去年は941人と過去最多を記録。ことしは6月2日時点で977人とすでに去年1年間の感染者数を上回っています。
県内では統計開始以降、最も多かった2020年の17人をピークにおととしまで2年連続で減少したものの去年は9人と再び増加し、ことしは6月9日現在で11人とすでに去年1年間の感染者を上回っています。感染者は高齢者が最も多いものの、30代や40代でも重篤な症状につながるケースが報告されています。
県健康福祉企画課 本間弘樹薬務・感染症対策主幹「人どうしの接触が多くなり、 感染が広がっているとの指摘もある。また、抵抗力が落ちているためとの 指摘も一部ある」
感染経路は主に傷口から菌が侵入することが多いとされていますが、全国で傷がなくても劇症化するケースが相次いでいて感染経路が分からないケースが多いといいます。また、飛沫感染が起きている可能性が高いとされています。
このため県の担当者は基本的な感染症対策の徹底を呼びかけます。
本間主幹「飛沫の感染を受けないためにマスクをすることやせきエチケット。傷口を放置せずに清潔にして気になる所があれば治療することが大事」
劇症型溶連菌は早期発見すれば十分治療できるため症状があれば早めに医療機関を受診してほしいと話しています。