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「不安な生活をさせたくない」 住宅浸水被害の戸沢村蔵岡地区で集団移転の説明会に住民は

2024年9月20日 18:17
「不安な生活をさせたくない」 住宅浸水被害の戸沢村蔵岡地区で集団移転の説明会に住民は

ことし7月の大雨で堤防から水が溢れ住宅が浸水する被害を受けた戸沢村蔵岡地区で19日夜、地区の全住民を対象にした村との意見交換会が開かれました。7割の住民が賛成した場合集団移転を進めていくことが説明がされました。

蔵岡地区会山崎昇会長「蔵岡の将来が存続がかかっている大事な案件等も説明を受けるのでそれらを聞きながら前向きに住民の皆さんと歩調を合わせながら村当局にお願いすべきことはお願いするそういう立場で意見交換会に臨みたい」

戸沢村の一次避難所である戸沢学園を会場に蔵岡地区全ての住民を対象に開かれた意見交換会。ことし7月の大雨以降初となる大規模な集会ということもあり、ほぼ全世帯の住民が参加しました。会は2時間にわたって行われ、村は住民に対し蔵岡地区からの集団移転について説明しました。

蔵岡地区住民(きょうはどんな話だった?)「様々な話があったけど主に集団移転とかお金の話。みんなが困っていることだから」

住民には国土交通省が行っている「防災集団移転促進事業」が紹介されました。この事業は災害の恐れがある地域からの住民の集団移転を促進し、それにかかる負担を国などが支援するものです。具体的には地方公共団体、今回の場合は村が移転元の土地を住民から買い取り、移転先の住宅用地を提供します。さらに引っ越しにかかる費用や住宅の建築費用も助成されます。
この事業を成立させるためには様々な要件がありますが、すべての住民が集団移転を同意することが絶対条件です。

蔵岡地区会山崎昇会長「感触としてはまったくそれを否定するという住民からの声は聞こえなかった。地域住民を豪雨災害にさらすような地区に住み続けることは無理であるという気持ちを私は持っている」

蔵岡地区住民「蔵岡の家を直して住みたいと思っていたが、蔵岡に住んではだめと言われて寂しい気持ちになった。集団移転に賛成して年も年だから少しでも早く新しい家に入りたい」
蔵岡地区住民「集団移転賛成です。離れるのは非常に辛いが孫たちがこれから住むとすれば洪水という恐怖や不安の中で生活するのはそういう思いをさせたくない。10年間で3回水が上がっている。3回目の今回が非常に命を脅かす災害だと思うのでやっぱり住めないなというのが本音」

説明会では蔵岡地区の住民に対し集団移転の是非を問うアンケート用紙が配られました。質問項目は今後蔵岡地区に住み続けるかどうか。国の集団移転事業に賛成かどうか。その場合、移転先はどこを考えているかの3点。回答の締め切りは9月25日で、住民の7割が国の集団移転事業に賛成した場合、村として本格的に集団移転を推し進める考えです。

住民「これから命に関わる問題も出てくるからみんなで集団移転した方が私はいいと思う。反対する人はいないと思う」
住民インタ「自分たちは一応賛成だがいままで住宅ローンが無い状態で住んでいたので集団移転などでそういうものが発生してくるようになると賛成しかねるところは出てくる」
加藤文明 戸沢村長「まずは半歩前に進んだのかなと緊張感を持ってしっかりと住民の声に耳を傾けてこれから前に進めます」

記者リポート「旧戸沢小学校の敷地内に建設が進められている仮設住宅は骨組みが組み立てられ完成に徐々に近づいている」

一方、28戸が建設中の仮設住宅は9月末に完成し、10月上旬から入居が始まる予定です。それに伴い、戸沢学園の一次避難所は閉鎖され、一部の住民は新庄市内の二次避難所になっている旅館に移ります。大雨の発生からまもなく2か月。蔵岡地区の住民たちに大きな選択の時が迫っています。