慢性的な医薬品不足に感染症の流行 さらなる薬不足が懸念 4割が手に入りにくい状況
ジェネリック医薬品メーカーの不祥事などをきっかけに、国内ではここ数年、慢性的な医薬品不足の状況が続いています。そうした中、山形県内でもいま、インフルエンザの流行が続いていることなどを背景にさらなる薬不足が懸念されています。薬を取り巻く県内の現状を取材しました。
県薬剤師会・岡崎千賀子会長「感染症が爆発的に流行しているから足りないのではなく、もともと足りないところに今コロナやインフルエンザの流行が重なってしまって、もっと厳しくなっている状態」
県内の医薬品の状況について語るのは、県薬剤師会の岡崎千賀子会長です。岡崎会長によりますと、2020年に発覚したジェネリック医薬品メーカーの不祥事をきっかけに、以降、国内では医薬品の慢性的な供給不足が続いているといいます。
県薬剤師会・岡崎千賀子会長「すぐに回復するかと思っていたが、様々な状況物価の高騰、働き手不足でメーカーも頑張っているが、まだ安定供給はされていない状況」
厚生労働省によりますと、去年11月時点で国内では、1万3352品目ある医薬品のうち、およそ4割の5254品目が生産の遅れなどによってすぐに手に入りにくい状況となっています。
県薬剤師会・岡崎千賀子会長「風邪に関するものでは、咳止めや鎮痛剤。タミフル(インフルエンザ薬)のドライシロップが入ってこない状況だが、薬局同士で在庫情報をやり取りしてもらうことがある。薬局間の連携でお互いに協力し合って対応したい」
山形市内の薬局ではー。
さくら調剤薬局長谷堂店・渡辺尚子管理薬剤師「毎日この出荷調整かかったとか朝チェックする。きのうまで入っていた薬が突然出荷調整になる」
メーカーからの医薬品の供給状況は日々大きく変わるため、薬局の在庫状況も安定しないといいます。そうした中、スムーズに薬を処方できるよう、こちらの薬局では独自に医薬品の在庫状況を一覧にして、近隣の病院に知らせています。
さくら調剤薬局長谷堂店・渡辺尚子管理薬剤師「一覧表にして毎月先生に出してこの中から処方して もらうようにしているので、 先生も薬の在庫を聞かずに済む。薬局の方ではなるべく頑張って卸売業者に薬の供給をお願いする」
薬不足の状況の中、患者ができる対策として、以前処方されて残っている薬がある場合は、有効に使用できることもあるとして、薬剤師に気軽に相談してほしいと話しています。
さくら調剤薬局長谷堂店・渡辺尚子管理薬剤師「余っている薬は薬局に持ってきてほしい。薬局で手に入れるのに苦労している薬が、患者さんの家にてんこ盛りになっていることもある。残薬を捨てるのはやめてほしい」
こちらの薬局では患者に薬が届かない事態には至っていませんが、日々変わる医薬品の供給動向を今後も注視していく必要があるといいます。
「いまあるからこの先もあるとは限らないので、その時々で状況が変わっていくことを理解してほしい」
県薬剤師会では、症状の状況によっては病院からの薬の処方に頼らず、事前に自分で検査キットを使って調べたり市販の薬を使用したりして、対処することも考えてほしいと話しています。