断熱性能が高い「木製サッシ」 アルミサッシに比べ3倍以上熱が逃げにくく 米沢市の企業が製作
国連とYBCを含む全国100以上の放送局などが「何もしないともっと暑くなる」をテーマに行っているキャンペーン「1.5℃の約束」。番組では気候変動防止に向けた取り組みを進めている県内の企業などを紹介します。2回目は、断熱性能が高く、省エネにもつながるという「木製サッシ」を製造する米沢市の企業に注目します。
米沢市の建具メーカー・「アルス」です。こちらの企業で製造しているのが木材で作られた木製サッシ「夢まど」です。一般にサッシに使われるアルミに比べ、木材の熱伝導率はおよそ1000分の1程度と高い断熱性が特徴です。一度温めた部屋の熱が外に逃げづらいため、エアコンなどに使用するエネルギーを抑えることができるといいます。これは、「環境に配慮した製品を選ぶ」気候変動防止につながる取り組みです。
アルス・高橋風人社長「木製サッシの一番の違いは断熱性能。素材として熱伝導率が圧倒的にアルミと違うので熱を通しづらい素材として外部と接するサッシには木製のものがマッチしていると思う」
近年は、年間2000枚ほどの注文があり、関東圏を中心に、県内でも米沢市の道の駅米沢や鶴岡市のスイデンテラスで使用されています。
これは、家の熱がどのような場所から外に出ていくのかを表した図です。日本建材・住宅産業協会によりますと、冬の室内で、窓やドアなどの開口部から外に逃げていく熱の割合は6割近くに上ります。それほど開口部の断熱性能は重要で、例えばペアガラスで木製サッシの場合はアルミサッシに比べ、3倍以上熱が逃げにくいという結果も出ています。
高橋風人社長「住宅全体として気密性を上げることでよりエアコンなどのエネルギー使用を減らす住宅になる。イメージとしては魔法瓶のような形で保温性の高い住宅にするためには窓単体の気密性や断熱性が重要。エアコン1台で家全体を涼しくし暖房1台で暖めることもできる」
アルスは1957年に建具屋「高橋木工所」として創業しました。当時は、家具などを生産していましたが2006年から木製サッシを専門に製造を始めました。
高橋風人社長「当時はベニヤを使った建具が多くベニヤを切ったときに咳き込む社員がいて木材を扱っているのに健康に悪いというイメージがあり無垢の木材を使った仕事がしたいと思った木製サッシは日本では普及していないが海外には当たり前にあるもので今後日本でも伸びていくだろうと木製サッシの製造を始めた」
サッシには国産のスギを使用し、輸送にかかるエネルギー消費を抑えています。
高橋風人社長「今までは海外の木材を使っていたが輸送のエネルギーがかかってしまうのでできるだけ国産のものを使いたくスギを使っている」
また、材料にスギを使うことにも理由が。
高橋社長「スギは長期的に安定した供給ができることと中に空気層が多くあり木材の中でも断熱性能が高い」
このほか、木を切り出した時に発生する端材も、箸に加工するなど木材の再利用にも力を入れています。
近年、木製サッシの注文数は関東を中心に増加しているものの、認知度はまだまだ低く、また、価格も他のサッシに比べ高いため、国内での木製サッシの普及率は1%未満です。毎日過ごす住宅だからこそ、消費エネルギーを抑えることで、持続可能な社会につながると話します。
高橋社長「今は再生エネルギーに目が行きがちだが省エネもすごく大切でいかにエネルギー消費をおさえるか。私も雪国の過酷さは味わっているのでその中でも快適に過ごせるように木製サッシを色んな人に使ってもらえれば」
快適かつ省エネにもつながるという木製サッシ。無駄なエネルギーを減らす製品が普及しつつあり、選択肢は広がっています。