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凍霜害に記録的猛暑 対応に追われた生産者たち カメラが見つめたやまがた2023

2023年12月7日 16:43
凍霜害に記録的猛暑 対応に追われた生産者たち カメラが見つめたやまがた2023

ことし1年を振り返る「カメラが見つめたやまがた2023」、2回目は、農業の1年を振り返ります。凍霜害や強風、それに加えて、記録的猛暑など多くの困難があったことし、カメラが見つめた先には諦めず対策を重ね続ける多くの生産者たちの姿がありました。

春本番を目前に控えた3月下旬、県内は地表の熱が奪われる「放射冷却」の影響で、各地の最低気温が「氷点下」となった。この時期、サクランボは「凍霜害」の危険性が高まる。サクランボは春先、芽が霜に覆われるとめしべが枯れて実がならなくなってしまう。
おととしの4月、県内各地のサクランボ畑で凍霜害が確認され、その年の収穫量は9160トンと過去最低となった。
おととしのような被害は出さないー

サクランボ農家・武田弘幸さん「きょうから花が咲くまでが勝負毎日温度を気にしながら園地を見回っている」

気温が下がらないよう、夜通し農業用ヒーターを点けるなど、生産者たちは懸命に対策した。
ことしは注目の大玉新品種「やまがた紅王」も本格デビュー。収量確保のため、ヒーターの稼働に加え県は生産者に対し盛んに「人工授粉」を呼びかけた。

県の担当者「毛ばたきはやればやるほど効果がある回数が多いほど授粉の量は増えていく何回も繰り返すことが大事」

迎えた6月の収穫期ー。
一部に凍霜害が確認されたが、その後、各園地で人工授粉を徹底したことで、サクランボの収穫量は過去5年で最も多い1万3300トンとなった。
諦めずに対策を続けた生産者の努力が実を結んだ。

武田海さん「毎年おいしいものを作っていくという心がけはあるつもりなのでその気持ちが消費者に届いておいしいものをまた、ことしも食べていただけたら」

夏ー。全国的に記録的な猛暑となった。農業、畜産の現場にも大きな爪痕を残した。

尾形俊一さん「これが開いてしまっているもの。だめなやつ食感が筋っぽくなるそのために売り物にならない処分ですね、腐らせるしかない」

山田鶏卵・渋谷優子さん「卵のサイズは、どうしても全国的にそうだ思うが この暑さで、エサを食べる量も下がってしまうので、サイズ的に多少小さくなってしまう」

猛暑の影響によってことしのコメは衝撃的な結果が待っていた。9月、コメどころ酒田市で乾燥と籾摺り、そして袋詰めの作業が行われていた。

農産物検査員の資格を持つ守屋仁志さん「やっぱり白が多いですね全体的に粒も小ぶり例年よりは品質は落ちるかなと思います」

7月以降の例年にない高温と少雨の影響で粒が白く濁った「白未熟粒」が多く発生、これが等級が下がる大きな要因となった。

県農林水産部・地主徹部長「地域別一等米比率の状況ですが庄内31.6%となっており庄内地域の品質低下が顕著となった」

9月末現在の一等米比率を県が地域別に独自に調査した結果、村山が56.6%、最上が87.3%、置賜が66.4%、庄内が31.6%と去年に比べて大幅に減少した。特に庄内は、去年産と比べて3分の1以下まで落ち込む、深刻な被害を受けた。

庄内の落ち込みが特に顕著な理由を県は、「白未熟粒の発生に影響するのが出穂後20日間の気温で、当時、特に高かったのが庄内地方だったことが関連しているのではないか」と分析している。

自然は実りの季節、秋にも猛威を奮った。

記者リポート「寒河江市のこちらの園地では強風の影響で収穫間際のラフランスが多く落ちています」

10月はじめ、強風の影響で、県内各地で収穫前のラ・フランスやリンゴが落果、県によると被害額は現時点でおよそ2億5000万円に上っている。

伊藤貴裕さん「1年かけて剪定作業をして 摘果作業をして草刈りをして収穫まであと1週間のところでこうなると心が折れる」

県は現在も被害額について調査を続けている。
酒田市にある13ヘクタールの田んぼでつや姫や雪若丸などを生産する小野貴之さん、猛暑に加え、資材高騰なども重なり、平年と比べ2割弱、収入が減った。

小野貴之さん「人も大変だったがイネも非常に大変だったのではないか途中まではすごくいい年かなと見込んでいたが8月手前くらいからすごく高温が続いて雨が降らないということで二重のストレスがイネにかかったのではないか」

県は来年度、高温に強い県産ブランド米、「雪若丸」の作付面積を拡大させる方針を示した。小野さんの田んぼでも、「雪若丸」は全て一等米。増産に意欲を示している。

小野さん「雪若丸はかなり高温に強い。このような天気でも平年並みのものができているということで非常に期待している。どんな天候でもしっかりと対応していくというのがこれからの課題なのかなと思う」

気象環境の変化のスピードが速く、県内農業の先行きは見通せない。こうしたなかでも生産者は諦めずに次の年に向けて、準備を進めていく。

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