【独自解説】自民党のアンケートはアリバイ作り? 国会論戦続く政治とカネ“実態解明”の実効性は? 二階元幹事長の権力の源泉か?50億円の政策活動費 その使い道は?
自民党の“裏金”問題で党が議員へ行う「アンケート」がわずか2問だけだとして、「アンケート」はアリバイ作りだ!と国会で集中砲火を浴びています。また二階元幹事長が受け取った政策活動費が50億円にのぼることも問題視されています。政治とカネの問題は前進しているのでしょうか?元自民党本部職員で政治アナリストの伊藤惇夫氏が解説します。
アリバイ作り?“裏金”アンケートはたった2問
自民党が行っている議員へのアンケートですが、質問は2問で紙1枚となっています。自民党の全議員が対象となっていて、その内容は「派閥による政治資金パーティーに関する収支漏れの有無」と、記載漏れがあった場合は「過去5年間の記載漏れ金額を求める」というものです。野党議員からは「アリバイ作りだ」という声が上がっています。
Q.このアンケートで、裏金の実態解明は先に進むのでしょうか?
(元自民党本部職員 政治アナリスト 伊藤惇夫氏)
「そもそも全議員アンケートですが、派閥のパーティーに限定していますので無派閥の人は関係ないんです。全議員ではないということになります。言ってみれば『やったよ』という“アリバイ工作”です。問題なのは、『いつ受け取ったのか?』例えば選挙の後と構えだとか。それと、『受け取った金銭を何に使ったのか?どう保管したのか?』という質問がないとこのアンケートに意味はありません」
Q.検察は事件化できなかったのですが、自民党内でちゃんとした調査ができるのでしょうか?
(伊藤氏)
「このアンケートもそうですし、裏金議員リストもそうですし、聞き取り調査もそうですが全部身内でやっているんです。聞き取り調査で外部の弁護士を呼んでいると言っていますが、その弁護士を雇っているのは自民党です。一般の企業でも何か不祥事が起きたら、外部の利害関係のない第三者機関を作って、そこがきっちり調査するのが極当然の対応だと思います。ところが今回は全部身内で処理しようとしているわけですから、いくら答えを出したとしても皆さんの疑念は消えないでしょう」
二階元幹事長 幹事長時代に党から50億円
政党から議員個人に支払われる政策活動費は、議員個人側の報告書への記載の義務はないということですが、二階元幹事長は幹事長時代の5年間で自民党から受け取った金額が約50億円になるということで、時給に換算すると1時間10万円だという指摘もされています。これに、岸田総理は「全額政治活動のために支出しているものと認識を致します」とコメントしています。
Q.5年間で50億の資金を握っているとなれば、権力・人事・力というのが集まりますよね?
(伊藤氏)
「党の執行部・幹事長というポストにいた人にとってみると、権力の源泉にもなりますし、ものすごく使い勝手のいいお金です。誰に出したかっていうのは報告しないといけませんが、その先何に使ったのか一切報告義務はありません。私がこの件で思い出したのは、かつて河井克行元法務相と河井案里氏の件で、なぜか選挙の前に1億5000万円が河井陣営に行っているんです。同じ選挙区から出たもう一人の溝手元参院議員は1500万円しかもらっていません。おそらく、これは幹事長の差配です。幹事長か党総裁の意向かどちらかしかないわけですよ。じゃあ、そのお金はどこから出たの?というと、やはりここじゃないのかなという感じがするんですよ」
(伊藤氏)
「また、岸田総理は非常に面白い論理を言っています。一つは、『党の活動と関わりある個人のプライバシー・企業団体の営業秘密を侵害してはいけないから使途を明らかにしない』さらに『党の戦略的な方針がよそに漏れるといけないから明らかにしない』です。この資金は幹事長から議員個人に配られているお金ですから、その議員は当然政治活動に使っているはずなんです。個人のプライバシーや企業団体の営業の秘密とは全く関係ないんです。それでも、なんかこういう理由を付けて政策活動費をオープンにしないようにしたいというのは、よほど自民党にとっておいしいお金なんだなという感じがします」
Q.例えば、「拉致問題」のキーパーソンに合うための資金とか、明らかにできないお金があるとするならわかるのですが?
(伊藤氏)
「それは官房機密費が対応すると思います。自民党が対応するお金ではありません。まず基本的な流れは、幹事長・要するに党から議員個人に渡るお金ですから、そのお金の使途が明らかにできないというのはちょっとおかしいですよね、政治活動ですから」
Q.政治家という職責で、これは表に出せないというお金というのはあるのですか?
(伊藤氏)
「全くないとは言いません。ただ、ちゃんとした人は自分のポケットマネーでやっています。使途について、個人的に議員と話をすると多くは飲食に使っています。しかし、オープンにしていい飲食も当然あるはずなのです」
Q.例えば議員が伊藤氏と意見交換をしたいので飲食しましたというのは?
(伊藤氏)
「当然かまわないと思います。では、表に出したらいけない飲食はなんですか?というと、とんでもない高級な料亭やクラブに行ったと批判されるのがいけないというのであれば、そういうところになるべく行かないようにすればいいだけです」
Q.「日本の将来にかかわる大事な人物に会うからちょっと言えない」というのは議員個人にはないのですか?
(伊藤氏)
「ほぼないと思います」
(「情報ライブミヤネ屋」2024年2月7日放送)