【特集】息子が突然「起立性調節障害」に…『節約レシピ』で人気インスタグラマーになったシングルマザー 数々の苦難を乗り越えフォロワー30万人超 奮闘する日々に密着
料理一本を武器に勝負するインスタグラマー・DOKINさん。『手抜きに見えない簡単がっつり節約レシピ』が多くの支持を受け、本を出版するまでになりましたが、その裏では離婚や長男の不登校・病気発症など、様々な困難にぶつかってきました。だからこそ強固になった家族の絆…華やかなSNSの世界の裏で奮闘する一家の日々を追いました。
3年でフォロワー30万超!『料理インスタグラマー・DOKIN』人気の秘密 「いつもおいしい」息子からも絶賛の“簡単節約レシピ”
SNSで大活躍中のDOKINさん(41)。人気の秘密は、彼女が生み出す『節約できて、手抜きしても手抜きに見えないレシピ』です。時間に追われる子育て世代や、手軽に料理を作りたい人たちに支持され、レシピ本を出版するまでになりました。
職業、『インスタグラマー』。料理や映像の勉強をしたわけでもない主婦が、わずか3年でフォロワー30万人を超えました。アイデアの源は、二人の息子に「おいしい」と言って食べてほしいという“母の願い”です。
(二男・りいちくん)
「いつもおいしいです」
(DOKINさん)
「嬉しいですね。ご飯のときは、本当に機嫌が良いです」
3年前までは“全くの素人” 調理・撮影・編集も全て自己流!インスタグラマーとして、母として…忙しい一日に密着「自慢のお母さんです」
DOKINさんが作る料理レシピは、『節約できて簡単、それでも“がっつり”お腹を満たせる料理』。“フライパンだけで作れるチャーシュー”は、330万回以上も再生されたヒット作。“生地の代わりにジャガイモを使ったピザ”も、100万回も再生されました。
ヒットメーカーの彼女の一日は、『料理を作っては撮影する』の繰り返し。
(DOKINさん)
「自己流です。だから本当に、正解かどうかはわからないです」
高校生と中学生の息子二人を学校に送り出したら、SNSに載せるための料理作り。調理の工程の節目節目で、録画していきます。
作っているのは、『ハニーマスタードチキン』。割引されていた鶏モモ肉に、かさ増しのためにエリンギを加えたオリジナルレシピです。
窓のそばに移動して、ハニーマスタードソースで仕上げたら、白い厚紙を料理の傍に立てます。
(DOKINさん)
「“レフ板”です(笑)」
完成した料理は、“ちょっと良い”カメラで撮影。照明は使わず、自然光を当てたほうが美味しそうに写るといいます。編集は自分のスマホで行い、文字を載せたらSNSに投稿。全部、独学で身に着けたものです。
人気インスタグラマーに駆け上がるまで、そう時間はかかりませんでした。3年前まで全くの素人だった主婦が、レシピ専門サイトからスカウトされ、食品メーカーからもレシピ考案の依頼が来るまでになりました。
毎日の買い物は、安い食材を求めて車で遠方まで出向きます。お目当ては、夕方になり“割引シール”が貼られたもの。事前に買うものは決めずに、その日安い食材で、作る料理を決めます。
(DOKINさん)
「ハムも安いですね、半額です。朝ごはんに使います。鶏ムネ肉が59円は、めっちゃ安いです。これ、買っておきます」
Q.何品、作れそうですか?
(DOKINさん)
「4品ぐらい、できるかなと思います」
この日は、『2000円相当の買い物で、500円以上の割引』という徹底ぶりでした。
午前7時から、朝ごはんの準備。安く済ませるために、朝食は毎日ほぼ同じメニューです。
(長男・あいとくん)
「おはよう」
(DOKINさん)
「おはよ。ちょっと待ってね、もうできるから」
(りいちくん)
「おはよう」
(DOKINさん)
「おはよう。起きられた?」
子どもたちが食べている間、今度は長男・あいとくんのためにお弁当作りです。
(DOKINさん)
「安いときに買った鶏ムネ肉に下味をつけて、揚げる状態にして冷凍していたものを、前日に解凍しています」
安いときに買って冷凍しておくのも、節約のコツ。
Q.これで、いくらぐらいですか?
(DOKINさん)
「いくらだろう…鶏ムネ肉は安いときに買っているので、300円もかかっていないです(笑)」
安くても、彩りと栄養バランスに妥協しないのが、母としてのこだわり。いつも残さず、キレイに食べてくれるのが嬉しいといいます。
(りいちくん)
「いつも料理がおいしいので。自慢できるお母さんです」
離婚し、シングルマザーとして働きながら子育て 息子の反抗期・不登校、さらに病気発症…「本当に伝わらない・理解できない状態でした」
この日は、高校時代からの友人・裕香さんとランチです。
Q.一人で息子二人を育てるDOKINさんを、どう見ていましたか?
(DOKINさんの友人・裕香さん)
「働きながら子ども二人、下の子がまだ小さかったし、小学生だったから、それを見ていたら大変だなって思っていました」
DOKINさんがSNSの世界に飛び込んだ裏には、人生を揺るがす出来事がありました。夫と別居生活が続く中、長男・あいとくんが中学2年のとき、不登校に。朝起きられず、体調が悪かったのですが、このときはまだ原因がわかりませんでした。
(DOKINさん)
「息子は息子で多分、『なんでわかってくれないの?』ってなっていたと思うし、私も私で、何かわからない。反抗期で学校に行きたくないのか、熱もないし、何で行きたくないのかもわからない。本当に伝わらない・理解できない状態でした、お互いに」
出口が見えない親子喧嘩が続く中、病院で思いもよらぬ病名が告げられました。『起立性調節障害』です。思春期にみられる病気で、自律神経系の異常から「朝、起き上がれない」「心拍数が上がりすぎる」などの症状がみられ、重い場合は社会復帰が難しくなることも。
(DOKINさん)
「『こういうときは起こしちゃダメだよ、無理に起こさないようにしてね』という説明を主治医の先生から受けたので、『嘘じゃなかったね、ごめんね』って長男には謝りました。長男も早く治したくて、学校が好きな子だったので、少しでも早く治して学校に行くって本人も頑張っていました。病気を受け入れてからは親子関係も良くなりましたし、『無理しなくていいよ』って…」
(あいとくん)
「『起立性調節障害』というのは、あまり世間に広がっている病気ではなかったから、もちろん最初はツラかったです。でも、母に病名を知ってもらって、そこから厳しくなったとかじゃなくて、しっかり自分を受け止めてくれたので」
一緒に病気と向き合うため、DOKINさんは仕事を辞め、子どもとの時間を優先しました。料理を生かしてSNSの仕事を選んだのも、「いつでも傍にいられること」「自宅で完結できること」が大きな理由でした。
(あいとくん)
「夜遅くまで仕事に向き合っている姿は見てきたので、そこは本当に尊敬です」
あいとくんは、調子が悪い日はあるものの高校にも通うようになり、様々なことに少しずつ意欲が出てきたようです。
(友人・裕香さん)
「(あいとくんに)やりたいこともあって、お友だちと遠出するって話を今聞いたから、良かったと思いました。本当に良い子だから。優しい子なんです」
病気のため引きこもりがちだった兄の新たな一歩、手料理でエールを送る弟…料理が繋ぐ「家族の絆」
そんなDOKIN一家に、“嬉しい知らせ”が―。あいとくんが、初めてアルバイトをすることが決まったのです。病気のため引きこもりがちで、人付き合いが苦手だったあいとくんですが、「家計を助けたい」と接客のアルバイトを自分で決めてきました。そこで弟・りいちくんが、お祝いの料理を振る舞います。
Q.何を作っているんですか?
(りいちくん)
「スジ肉のアクを取っています。お兄ちゃんが好きだからです」
兄の好物・カレーライス。ルーは、甘口と中辛のミックス。今回ばかりは“手抜き”ではなく、本格的です。
(DOKINさん)
「良い感じ、おいしそう」
りいちくんがカレーを作り、DOKINさんはブリの代わりにサバ缶を使った『サバ大根』を。普段は、まだまだ小食だというあいとくん。しかし、母と弟からの“エールの一皿”は、あっという間に空っぽになりました。
(DOKINさん)
「念願の接客業に就けることになったので、食べにいこうかなと思っています。いい?」
(あいとくん)
「うん…」
Q.恥ずかしい?
(あいとくん)
「はい、ちょっと…」
(DOKINさん)
「ははは(笑)」
良いときも悪いときも、家族を繋いできた“節約レシピ”。おなかと心を満たして、新しい一歩を踏み出していきます。
(「かんさい情報ネットten.」2024年1月22日放送)