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【特集】入場者数増加の『USJ』新人クルーは台湾出身の元薬剤師!テーマパーク業界で今課題となっている“人材の確保”の切り札である「海外人材」緊張のデビューに密着

2024年4月5日 17:00
【特集】入場者数増加の『USJ』新人クルーは台湾出身の元薬剤師!テーマパーク業界で今課題となっている“人材の確保”の切り札である「海外人材」緊張のデビューに密着
日本国外からも人気を誇る『USJ』

 大阪市此花区にあるテーマパーク『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)』は、国内のみならず海外からの旅行客にも大人気。そんな『USJ』が“訪日外国人対策”として新たに力を入れているのが、海外からの人材の採用です。台湾から“ワーホリ”で日本に来たという新人クルー、研修の日々と成長を追いました。

「ワクワクして緊張しています」元薬剤師の台湾出身新人クルーに密着!人材不足解消へ関西以外の地域・シニア世代も積極的に雇用してきた『USJ』「これからの人材は質にフォーカス」

 3月5日、『USJ』にやってきた黄彩鷹(コウ・サイイン)さん(30)。元の仕事は薬剤師でしたが、住み慣れた故郷とは違う環境でチャレンジしたいと、『ワーキングホリデー制度』を使って来日しました。

(新人クルー・黄彩鷹さん)
「台湾から来ました。すごくワクワクして、あとは緊張しています」

 黄さんを含めた9人の台湾クルーが研修で学ぶのは、『ゲストへの声かけ』や『笑顔』など、接客の“いろは”。

(指導クルー)
「『こんにちは』の練習をしてみましょう。行きますね、『こんにちはー!』」
(研修生たち)
「こんにちは~」
(指導クルー)
「良いですね、もう1回!『こんにちはー!』」
(研修生たち)
「こんにちは~!」
(指導クルー)
「良いですね~!指先は曲げてしまうと元気のない印象になってしまうので、伸ばした状態で手を振りましょう」

 彼らは、人材派遣会社を通じて『USJ』に採用されました。

 テーマパーク業界で今、大きな課題となっているのが「人材の確保」です。調査会社によると、業界全体では入場制限が緩和された2022年度以降、売り上げや入場者数はコロナ前の水準まで回復しました。しかし、コロナ禍で一度減ってしまったスタッフを再び確保することは難しく、人手不足が深刻化しているといいます。

 そこで『USJ』は、関西以外の地域やシニア世代にも募集の幅を広げ、2023年の1年間で2500人以上のクルーの採用に成功しました。さらに2023年10月からは、社員が直接海外に赴き、説明会や面接を行って、外国人クルーの採用を始めたのです。

(「ユー・エス・ジェイ」人事部 大河原貴信課長)
「今までは正直、量にフォーカスしてクルーの採用を進めてきましたが、これからは質にフォーカスして、海外から来るインバウンドゲストへのサービスの質をより上げていこうと」

「私たちにできるかな…」実際に“インパ”して歩き、体験し、学ぶ研修 楽しさと不安が入り混じる新人クルー、刻一刻と迫る“デビュー”の日

 国内の人手不足を補いつつ、訪日客に対応するための外国人クルーたち。この日は、パーク内を歩いて体験する特別な研修を受けました。クルーの接客に触れながら学びます。

 次に、自らの持ち場になるレストランへ。

(黄さん)
「私たちにできるかな…重そう…(笑)」

 実際の職場を目の当たりにすると表情が一変し、不安な様子…。

(責任者)
「皆さんは、お客様に対してお席まで案内して、メニューを説明する役割を担っています。インバウンドのお客様も増えていますので、皆さんの力が発揮できる場所かと思っています」

(黄さん)
「レストランでよく聞かれる質問はありますか?」
(責任者)
「『リブロースとサーロインの違いは何ですか?』と、聞かれることは多いです」
(黄さん)
「あー、やっぱりそうですね。あと、ビールの違いも…」

 最後は、制服のサイズ合わせへ。デビューまで間近です。

(黄さん)
「着替えました~」

Q.制服を着てみて、どうですか?
(黄さん)
「不安ですけど…お客様の笑顔が見たいので、そのために頑張ります」

「ゲストがゆっくり私の話すことを聞いてくれた」慣れない日本語に苦戦も、丁寧なコミュニケーションと人柄の良さでお客さんを次々笑顔に…母国語での接客に「良い笑顔が出てた!」

 3月9日、いよいよ初出勤です。担当トレーナーを務める先輩クルー・鶴田理絵さんに付き添ってもらいながらの接客。慣れない日本語に戸惑いながらも、一生懸命お客さんにメニューの説明をしていきます。

(担当トレーナー・鶴田理絵さん)
「最後、下がってくるときのニコッとした笑顔が、とても良かったです」
(黄さん)
「えへへ(笑)」
(鶴田さん)
「できているから、大丈夫。不安にならなくていいよ」
(黄さん)
「はい!」

 必要なのは、積極的なコミュニケーション。黄さんも奮闘します。…と、そこへ。

(鶴田さん)
「中国語圏のお客様が来たから、通訳をお願いしたい」

(黄さん)
「こんにちは~」
(台湾からのゲスト)
『(メニューを見せてもらえますか?)』
(黄さん)
「メニューが見たいです」
(鶴田さん)
「あ、メニューが見たい」

(鶴田さん)
「じゃあ、ご案内して、そのまま中国語でメニュー説明までお願いしてもいいですか?」
(黄さん)
「はい、大丈夫です」
(鶴田さん)
「ありがとう」
(黄さん)
『(こちらへどうぞ)』

(黄さん)
『(今日パレードは見ましたか?)』
(台湾からのゲスト)
『(はい!)』
(黄さん)
『(本当にすごかったです!しかも、とても迫力がありましたよね!)』

 語学を生かして、完璧な笑顔と声かけ。この日一番の接客でした。

(鶴田さん)
「すごく良い笑顔が出てた!初・中国語対応、頑張りました!」

(鶴田さん)
「彼女みたいな人柄で、お客様を対応することのできるクルーが増えていくのは、私たちにとっても助かりますし、ゲストにとっても、より楽しい思い出を作るきっかけが増えるので、そういった意味ではすごく期待しています」

(黄さん)
「ゲストが、ずっとゆっくり私の話すこと聞いてくれて、みんないいなと思いました。お客様を楽しませることができるクルーになりたいです」

 今後の新エリア開業などで、更なる訪日客の増加が見込まれる『USJ』。人手不足を解消する一手として、外国人クルーの今後の活躍が期待されます。

(「かんさい情報ネットten.」2024年3月14日放送)